スーパーギタリストがピアノマンに変身する時

逗子サーファーズライブ。

 サンセットライダースの演奏時、いつもの定番テイクイットイージーをやらなかったな、とは思っていた。 

アンコールが始まった。全員でこの曲を演奏するからか、と思ったのもつかの間。 私は本当に素晴らしき光景を目にした。 ステージに飛び乗ったギタリスト長谷川さん。 やけに後ろに行くなと思ったら、 なんと、キーボードの後ろに座った。

 え? まぢ? そして、弾き始めた。 

 えー! 弾いている。

 ピアノマンとなった長谷川さんが ガンガン、キーを叩いている。思わず席を立ち、ステージに近づいた。 初めて見る光景に釘付けになった。

 カ、カ、カッコイイ。 昔エレクトーンを習っていたことは聞いていた。CDでは、ピアノを弾いてる曲もあるとわかっていた。 でも、実際に観たことはなかった。 そして、いつか、そんな姿を見たいと望んでいた。 感無量という言葉はまさにこんな時のことを言うに違いない。 ステージ上では今日出演のミュージシャン全員が楽しそうに歌い、演奏している。 客席には完成したばかりのサンセットライダースタオルを広げてはしゃぐ仲間が見えた。私も本来ならあの場所でタオルを広げてステージに向かい声援を送っているはずだった。

 でも‥‥‥ 

私はそこから一歩も動けなくなってしまった。ステージの後ろの方で見え隠れするピアノマンと化した長谷川さんの姿を追いながら、いつものように夢と現実のあいだを往き来する不思議な心地よさに包まれていた。 少し羽目を外し過ぎたかもしれないが、まあ、そこは、逗子の海風に吹かれたせいにしておこう。 

はしゃいだあの日の想い出はずっと私の心の中にある。絶対に忘れない、忘れたくない大切な宝物になった。              

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