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地方交付税の話

長野県御代田町の町長小園拓志です。コロナワクチン関係で飛び回っているうちにnoteへの投稿がワクチン関連を除いてしばらくできずにおりました。ここからまたいろいろ書いていきたいと思います。

8月3日、長野県庁で地方交付税のうち普通交付税の決定についてリリースがありました。普通交付税は、町税などの税収でまかなえない部分の大半を補ってもらえる大事な財源ですので、役所、役場の財政担当者は実際にいくらになるのかドキドキしながら交付決定を待つものです。私も新聞社の支局や支社にいたころ、財政担当者と同じくらい気にしていた数字でした。

さて、今回の決定額ですが、普通交付税が13億7132万円、臨時財政対策債が3億1647万円で、実質的な交付額は合計16億8779万円でした。

おいおい、実質的ってなんだよ、という声が聞こえそうですね。地方交付税とはもともと、国税5税(所得税、法人税、酒税、消費税、たばこ税)の一定の割合を財源としているのですが、国税の収入が各自治体の必要額に追いつかなくなってきたころ、当初は国の方で借金をして自治体に渡していたらしいのです。ですがその後、「地方で使うお金なんだから地方で借金すればいんじゃね?」という考えになり、平成13年度(2001年度)から、自治体に「後でヒャクパー面倒みるからさ」と約束した上で、臨時財政対策債という形でそれぞれ借金させることになったのでした。令和2年度分は2億144万円だったので、伸び率は57%ほど。県内77市町村で松本市(74%)に次ぐ2位の伸び率となっています。もちろん、国のお約束ですから心配はしてませんが、後々「あの話はなかったことに」とならないように、国の皆さん、何卒お願いします!!

なお、一般感覚では借金は少ないほうがいいわけですが、臨時財政対策債については事情が違います。国が「あとで全部面倒見る」ことになっていて、実際に今年度の算定でも2億6457万円をカバーしていただいてますから、借りないと単純に収入が減ってしまい大損、という状況です。野放図に借金を増やしているわけではないことをご理解ください。

普通交付税単体を見ると、令和2年度は11億1554万円でしたから、実額で2億5600万円ほどの増、率にして23%増となっていて、こちらも同じ佐久地域の南相木村の25%に次ぐ県内2位の伸び率となりました。

地方交付税は、国が「この自治体ではこのくらいのお金がかかるはず」という金額(基準財政需要額といいます)と「この自治体では基本的にこのくらいの収入がある」と認定する金額(基準財政収入額)を比較し、不足する場合その金額を補填する仕組みです。「不足する場合」といいましたが、県内で不足してないのは軽井沢町だけで、あとの76市町村は自治体の大小にかかわらず地方交付税を受けています。

御代田町の地方交付税の伸び率が高かったのは、需要額が増えたからか? 収入額が減ったからか? というところが気になると思いますが、どっちも、が正解です。

需要額増加のほうは、ごくごく簡単に言うと、人口が増えていることが大きな要因です。今回の算定から、昨年実施した国勢調査の人口を根拠とするようになりました。5年間の人口増は379人。さらに人口1人当たりの単位費用が増える変更もあって、人口で直接算定する「包括算定経費」のほか、消防費、社会福祉費、高齢者保健福祉費、地域振興費などが軒並み大きく増額となりました。

一方で収入額減少は、コロナ禍における法人税割の消滅でほぼすべて説明できるかと存じます。

御代田町の財政は個人の所得や固定資産に関わる税収により多くが支えられており、法人からの税収への依存度はそれほど高くなく、コロナ禍のもとでも比較的堅調に推移しています。町民お一人お一人の力に支えられているのは大変ありがたいことです。

コロナ禍を契機に、私自身、「長期間安定した財政運営をするにはどうしたらいいか」と考える機会が増えました。カギは各種基金の組み方ではないかと考えており、現場に指示も出しています。年内には、町民の皆さんに長く安心していただける手法を採っていきたいと思っております。

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