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TRACK 04 몰랐어(知らなかった)

この歌を聴いてパンチを喰らい、せつなさで心がキュッとなってしまってるエンジンよろぶん。生きてますか。

かく言う私も、やられてしまったひとり。
そして彼らはいつの間にこんな高音をこなせるようになったのだろう。

静かなアコースティックギターの音色とともに、ジェイとジョンウォンが苦しげな表情で胸の内を訴え、ニキとソヌに漂う哀愁、ジェイクとソンフンの語りかけるような深みのある声、そしてヒスンがこの歌の一切の大人な要素を拾い上げリアルな心の声をメロディーにのせて私たちをその世界へ引き込んでいく。中盤に刻まれるスネアドラムの小気味よいリズムが歌詞の説得力を押し上げラストへと盛り上げて静かに消えると彼らのさらに熱のこもった声量がせつなさを高めて重なり合い、最後はヒスンが甘いボイスで余韻を残しつつ歌い終える。

聴いていてここまでせつない気持ちにさせられるのは、彼らの表現力の進化と楽曲に対する理解力、特に15歳のニキがここまで切なさを出せること、この曲だけに限らないけど、メンバー全員が明るく爽やかな外見と相反する悩みを抱えた内面をあわせ持ち、この年代にしては多くの局面を体験し乗り越えそしてもがいてきた体験さえ武器にした強さのせいだろうか。

せつなさを訴えるのに強さとはなぜと思われるかもしれない。
たとえば、ソヌは表情の天才といわれるけど、それは持ち合わせた才能だけでなく心に多くのヒダを持っていて、いつも考え続けていることの表れだと思うし、ニキが年齢の割に大人びているのは(メンバーからも事あるごとに言われている)、きっと異国でひとりで多くのことを乗り越えてきたからに違いない。
他のメンバーにしても恵まれた家庭環境で育ってきたかもしれないが、それと精神的なハングリー状態は相対しない。内面の強さは自分で鍛えるしかないから。
そうして彼らが身につけた強さがスピードを持って表現力の高さへと進化したのだと思う。

せつなさを知る彼らの愛はどこへ向かうのだろう。
それぞれの心の内、けして表に出すことは出来ない本当の自分。
そしてまだ気付いてもいないかもしれない本当の自分。
さらに表に出してしまえば全てが崩れ去るかもしれない愛は彼らにとってどういう意味を持つのか。
そんな選択ならしないほうがマシだと思うだろうか。
目の前に広がるのは明るい光だけではなく輝きの向こうに見え隠れする暗い影。
多くの賞賛を得ても手放しで喜ぶばかりではいられないことも知っていて、その上で迫られるいくつもの選択。それはひとつ間違えばどこに向かっていくのか分からない底知れない不安をも抱えている。
そう、先へ進めないのだ。

それでも頭ではいけないとわかっているのに心が止められないと訴える。
こんなに夢中になるなんて知らなかった。
この愛を止めることなんてできない。
価値観をひっくり返されたのに、それでもいいと思う自分がいるなんて、知らなかった。
知らなかった。
せめてその言葉で救われたいと願う。

“こんなに無害な顔で
僕を危険にする君が
ずっと気になって
止められない”

“僕の世界を壊して
僕の宇宙の壊れたすきまから歩いてきて”

“もつれ合い
絡みあった心
不慣れだけど、なぜ嫌ではないのか
どこか不都合な
そして甘い
初めて感じる感情に陥ったみたい”

“Just a little bit Just a little bit
世界が崩れ落ちて
Just a little bit Just a little bit
君の重力に導かれ
僕の宇宙は消え去り
一つずつ君で満たされ
世界のすべてが分かると信じていたのに”

“知らなかった”

そう、これはかなわない愛の歌、そして同時に人生をも綴る歌だ。
価値観をひっくり返された彼らが乗り越えるべきワンステップ。
彼らの人生はまだ始まったばかりだから。

そして、1stフルアルバム”DIMENSION:DILEMMA”に刻まれた私たちの心を揺さぶるこのバラード️‘몰랐어’が、たくさんの人に愛されて歌い継がれていきますように!

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