裏・パルマ劇場歌手への道(6)~試金石~
※この文章は2006年にブログ記事にしたものを編集し直したものです。
「若干20歳の若者がスカラ座で彗星のごとくオペラデビュー」
イタリアの作曲家ロッシーニのことです。
今回(※2006年の事です)私が出演する、
「試金石(La Pietra del Paragone)」
は、1812年9月26日ミラノのスカラ座で初演され、
これにより、ロッシーニは一躍イタリアオペラ界のホープとなったのです。
20歳のとき、私は何をやってたんだか・・・
ただ、これはロッシーニの作品の中ではあまり有名な方ではありません。
私も、タイトルと大まかなあらすじしか知らなかったのですが、
今回出演するということで、いざ関わってみると、
大変面白い(°Д°)
ロッシーニのオペラ自体、出演するのは初めてだったのですが、
まず、音楽がとってもいいですね!
聴いてるだけでうきうきしてくるような。
そして、裏・第4話にも書きましたが、
モーツァルトの影響を色濃く受けているので、
ところどころに、モーツァルトのオペラのモチーフが出てきます。
とくに、1幕フィナーレなんて、
コジ・ファン・トゥッテの1幕フィナーレそのままって感じの箇所があります。
では、簡単にあらすじをご紹介しましょう。
名誉もお金もあるアズドゥルーバレ伯爵はいまだに独身。しかし極度の女性不信です。多くの女性に言い寄られていながら、決していい返事はしません。
その多くの女性の中に、ドンナ・フルヴィア、男爵令嬢アスパージアがいますが、彼女らはお金が目当て。そして、若くて美しい侯爵未亡人クラリーチェも伯爵に思いを寄せています。実は伯爵もクラリーチェは気になっています。
女性不信の伯爵は本当に自分を愛してるのは誰かということを確かめるために、一計を案じます。
召使いに、破産宣告を受けたという手紙を自分のもとに届けさせ、自身外国人(日本人)の債権者に変装して、財産を差し押さえにやってきます。
伯爵の親友、詩人のジョコンドとクラリーチェはそのような話を信用しませんが、ドンナ・フルヴィアとアスパージアは伯爵に同情もせず、自分の財産を守ることだけしか考えません。
程なくして、召使いのファブリツィオが「破産宣告は無効であることが立証された」という新たな手紙を持ってきます。そして、これによってドンナ・フルヴィアとアスパージアは伯爵の信用を失っていしまいます。
さて、今度は伯爵の親友ジョコンドが実はクラリーチェに恋心を抱いており、森の中で愛を告白します。伯爵はそれを耳にすると「女はやはり不貞だ」と怒りだします。
ジョコンドとともに身の潔白を証明したクラリーチェはそこで一計を案じます。「双子の兄が帰ってくる」という知らせがあったと告げてその場を立ち去ります。
伯爵の家には軍服を着て兄に変装したクラリーチェが登場し、妹を外国へ連れて行くことになったと言います。伯爵はそこでクラリーチェを愛していたことに気付き、兄にクラリーチェとの結婚同意書に署名してほしいと告げます。それが叶わないなら自殺すると。
すると兄に変装したクラリーチェは自分の名前を署名し、そこで変装を解くと、恋の試金石に合格したことを喜びあって幕となります。
という、音楽だけでなく、ストーリーにしても、
コジ・ファン・トゥッテに似たお話となっていますが、
ひょっとすると、それ以上に随所に思わず笑ってしまうネタが仕掛けられています。
そして、今回の演出は現代演出ではあるのですが、
初めて経験するタイプの演出で、
とても新鮮で面白いです。
【独り言:こちらでご覧いただけます。】
演出としてあまり好きでない人はいるかもしれませんが、
そんな人でも見てるだけで笑ってしまうことは間違いないと思います。
ここに詳しく書けないのが残念です。
なお、今回の日程は、劇場のホームページ、
http://www.teatroregioparma.org/stagionelirica/index.htm
に詳しく書いてありますが(確か英語のページもあったと思うのですが・・・)、
12/13、15、17、19、22の5日間となっています。
ちなみに、12/20にはハイライト版ですが同じ演目を私がソリストをします。
なお、そのハイライト版は、私が新聞記者マクロービオ役で、
日本のオペラ界のホープである友人のT岡A子さんが主人公のクラリーチェで出演します。
本公演のチケットは11/27現在インターネットでまだ買えるようですので、良かったら観に来てくださいね。
ちゃんと字幕付きですし。
イタリア語ですが・・・
立ち見席でしたら、当日でも買えると思います。
(早朝からの点呼が必要ですが・・・)
ハイライトのチケットは、多分ただなのですが、
どうやって手に入れるのか分かりません・・・。
それから、この演目、引っ越し公演でパリに行ってきます!
なので私、1月8日から約2週間、
初めてパリに上陸いたします(°Д°)
仕事としてこんな経験が出来るなんて、ホント驚きです。
パルマに観に来れない方は、是非パリでよろしくお願いします。
字幕はフランス語になると思いますが・・・。
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