パルマ劇場歌手への道(3)~人脈~

※この文章は2006年10月にブログ記事にしたものを編集し直したものです。100円と表記されるかもしれませんが、無料ですべて読める「投げ銭スタイル」ですので、お気軽にご覧ください。


「イタリアはコネ社会」

よく聞く言葉です。

何かの手続きの際にも係員と友人であれば驚く程すんなり事が運ぶなど。


これは音楽の世界にも当てはまり、そして非常に重要なことだと思います。

音楽の技量というのは客観的に測ることが非常に難しいですから。

あまりに度を超した「ひいき」は困りますが、

技量に差を付けがたい歌手が2名いて、どちらかを選ばなければならない場合、

当たり前ですが、よく知っている人を選ぶでしょう。


なぜなら、音楽家というのは信用という土台の上に成り立っている職業だからです。

ゆえに、日本の音楽界でもコネというものは存在するでしょうし、

ここイタリアではなおさらのことでしょう。

コネというと言葉が悪いかもしれませんが、

この世界は人脈が非常に重要であるのは間違いありません。

・・・

それは学校が始まって私が最初に受けた授業「合唱」のときでした。

私の隣はいつも、今年の2月フィデンツァという町で合唱として

モーツァルト作曲「皇帝ティートの慈悲」

に出演したとき以来仲良くしてくれている、

シチリア出身のドメニコが座っています。


ちなみに、この時の出演は決して劇場専属ということではなく

単発のオペラ(※大きい都市では年間を通して数本のオペラが上演される)でしたので、

学校に合唱団募集の依頼があり、学生として出演したのです。


さて、その日もいつもの通りとなりに彼が座り、

授業中、暇をみてはシチリア方言のスラングを教え込もうとします。

ドメニコとは一緒に飲みに行くことも多いのですが、

いつも馬鹿なことを私に教え続け、私がそれを発音すると大笑いする、

そんなことばっかりやっているのです。


こんな彼、こんなのですが、かなりの秀才で、

学校の試験はみんな満点で通過してるんです。

そんなのは多分彼一人でしょう。


そんな彼が授業中何かを思い出したかの様に私に言ってきました。


「Fumi(※私のこと)、パルマの劇場の合唱メンバーのオーディションを受けてみないか?」


つづく・・・


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