パルマ劇場歌手への道(15)~会場~
※この文章は2006年10月にブログ記事にしたものを編集し直したものです。100円と表記されるかもしれませんが、無料ですべて読める「投げ銭スタイル」ですので、お気軽にご覧ください。
「すみません、今日・・・」
ここまで言うと、
「あぁ、オーディションね。あそこの扉から2階にあがって。」
と店員さんはぶっきらぼうな感じで答えました。
なんか、拍子抜けです。
あんなにビビっていたのに。
そして、ついでに聞いてみました。
「オーディションは何時から何時までやるんですか?」
「さぁ?わからないわ。」
どうやら、ここは本当に入り口を果たしているだけで、
奥のオーディション会場とは関係ないようです。
しかも、オーディションを受けにきた人間がそんなことを聞くものですから、
ちょっと怪訝な顔をされてしまいました。
怪しまれないうちに、と奥の扉を開け、2階へ上がります。
その階段にはオペラ作曲家の絵や名歌手たちの写真などが飾ってあり、
雰囲気を醸し出しています。
2階に上がると、扉が3つありました。
その一つからは喋り声が聴こえてきます。
きっと、ここに違いない。
そう思ったものの、小心者の私はまたしても扉の前で足が動きません。
5分程経過したでしょうか。
この扉を開ければ自分の人生が変わるかもしれない、
そう自分の心に言い聞かせ、おそるおそる扉を開けました。
「失礼します。」
部屋では3人のイタリア人らしき方々が談笑していました。
一人は明らかにオーディションを受けにきた風です。
「今日、ここでオーディションがあると聞いたのですが・・・」
すると、そのオーディションを受けにきた風の若い女性が近づいてきて、
「じゃぁ、ここで待つといいわ。」
そういうと、その部屋のはじにあるソファーに案内してくれました。
「いま、審査員の方達は食事に行っているから。」
再び、3人は談笑を始めます。
部屋は小学校の教室をちょっと広くしたような長方形の部屋で、
壁には様々な歌手、演奏会のポスター、写真等がはってあります。
「Corale Verdi」というのはどうやらアマチュア合唱団の名称らしく、
【独り言:なんと100年以上の歴史を持つ合唱団です。その後、何年間もお世話になるなんて、この時は思ってもいませんでした。】
この建物はその団体の練習会場兼事務所として使われているようです。
そして、3人が談笑していて、私の待っているこの部屋は、
本日はオーディションを受ける人間の待合室として使われているらしく、
ピアノのあるとなりの部屋でオーディションが行われるのでしょう。
30分頃経過した頃でしょうか、
私が入ってきた扉が再びバタンと音を立てて開きました。
そこには予想外の光景が・・・
つづく・・・
(↑Corale Verdiの待合室)
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