言語の階梯

以前、先輩のコードがCとアセンブリでオブジェクト指向のコードが書いてあった。全てのコードはアセンブリになるので、Cでもアセンブリでもオブジェクト指向風に書くことは不可能ではない、という思想の元に書かれたコードだった。

もちろん先輩の頭の中にはオブジェクト指向があるが、コードを一見見ただけではわかりにくい。これから現れるあらゆる言語指向もCでもアセンブリでも書けるかもしれないけれど、それは書く人の中でしかわからない。

一般に新しい言語の言語は機能を与える以上に、その言語が含む思想を明示的に表現できるようになる。そして、書く人の発想がプログラムに現れるために、書く人の頭の中にだけある情報が減って来る。書く人の考えていることがプログラムで表現されるようになる。プログラム言語の進化は、発想と表現の接近にあり、やがてプログラム全体の大きなイメージまでも言語の中で描けるようになるかもしれない。

マシンと人の間にはバイナリ、アセンブリ、原始言語、高級言語...と、言語の階層があり、我々はその階梯を登っているのだ。

人工知能の開発もこれと同期している。ソフトウェアから人工知能への変化は、開発者の頭脳によって高度なプログラムを書くのではなくて、開発者の頭脳をプログラムの側に移すことにある。それはプログラム言語の発展なしにはなし得ないのである。

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