エンジニアに良い仕事をさせる。

優秀なソフトウェア・エンジニアは、常に良い仕事をしたいと思っている。

余裕のない現場では、或いは余裕があっても無理解な現場においては、常に、「高度な技術の仕事」より、それよりダウンした正直「その場限りの実装仕事」へ還元される圧力がある。そのことの良し悪いはケースバイケースであるが、

エンジニアに良い仕事をさせることは、モチベーションを高め、高度な技術の蓄積となり、それがまた新しい人材を引き寄せる。全てとは言わないが、良いエンジニアは質の高い仕事をして高い評価を得たいと思っている。

しかし、限定的な成果を早期に求める現場では、「まとまった質の高い仕事」より、「細分化されたその場限りの仕事」が優先されることが多い。。そのことの良し悪いはケースバイケースであるが、そういったダウンさせる力から、若いエンジニア、意欲的なエンジニアを守ることが、マネージメントでもある。そうでなければ、延々と、細分化された仕事をスケジュール通りにすることだけが優先される。それが必要とされるケースは、その時点で、エンジニアを既に見くびっている(とても傷つく)が、確かに、そういうケースが多発してしまうのが、ゲーム開発である。しかし、特に、ゲーム会社においては、蓄積できない技術を大量に積み上げることはリスクでさえある。本当は、そうなる前に、企画の要件を深いレベルで解決して行くスタート地点を一緒に持ちたいとどのエンジニアも考えている。

日本のゲーム産業は、残念ながら、海外へ比べて、常にキャッチアップである上に、蓄積がされにくい背景には、「高度でまとまった仕事」が、「細分化されたその場限りの仕事」にすぐにすり替えられてしまうところにある。それの良し悪いはケースバイケースであるが、結局、現在のタイトルだけを見れば、その場限りの仕事への要件が強い力を持ち、そのタイトルだけを考えれば、それでも良いかもしれないが、技術が積みあがらない以上、長期的には、世界で技術をリードするどころか、永遠にキャッチアップで終わってしまう。

我々はそれを阻止するように、エンジニアにできるだけ、「高度でまとまった仕事」をさせることで、企業内における技術の蓄積をせねばならない。

それを本当はこの10年でせねばならなかった。しかし、あらゆる現場で、一般的な仕事が限定的な仕事に置き換えられ、その時々のタイトルで間に合わせの技術で補填され、あとのタイトルはどんどんと技術的に苦しくなり、誰も責任を取ることもない。

エンジニアを指揮する以上、或いはそれ以上の立場である以上、

エンジニアに良い仕事をさせ、キャリアで負けないような仕事をさせる、

社内で蓄積させ、社内外のカンファレンスで発表させる、

その大きな礎が、すべてのタイトルを支える礎として積みあがって行く。

現場の即自的な要求をある程度は対立しながら、

技術をなるべくまとまった高度なかたまりとして恒久的に構築するように、

逆に、その場限りの実装を高めるようにコントロールし、

逆にあまりにも難しい実装は、特殊な条件のものに簡易化する。

それがCTOや技術リーダーの役目の一つである。

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