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イスラエルのガザ攻撃で利益を上げる軍産複合体に抗議するアメリカの若者たち

ハマスの奇襲攻撃があった10月7日以降、イスラエル国防軍が使用する兵器システムを開発・販売するレイセオン/RTX社の株価は急騰するようになり、レイセオンの幹部たちはイスラエル軍の攻撃のエスカレーションを経済的好機ととらえている。

 これにアメリカの若者たちは異を唱え、反発するようになった。マサチューセッツ大学アマースト校のキャンパスでは、学生たちが現在RTXとして知られる兵器製造会社レイセオンとの関係を断つよう大学に圧力をかけるため、抗議活動、スポーツ試合を妨害、また学長室での座り込みを行うようになった。

大学当局が兵器製造業者との関係を、軍事ではない、持続性のある未来に向けて活動する企業との関係に変えることを要求する マサチューセッツ大学アマースト校

 アメリカの議員たちは軍需産業の株で利益を上げている。たとえば、オクラホマ州選出の共和党のマリン上院議員とハーン下院議員が最初にRTX株を取得して以来、その株価は10%上昇し、さらに10月7日以降には18.85%上昇した。

 アメリカ議会でも軍需産業の工場は下院議員の選挙区、上院議員が選出される州にあるために、軍需産業からの献金や、軍需産業が選挙のために行うメディアを使ったサポートは、選挙戦を勝利するのに欠かすことができず、議員たちも軍需産業が政府から契約を得ることに力を注ぐことになる。

 マサチューセッツ大学アマースト校の学生たちは、第一に大学がレイセオン/RTXだけでなく、ボーイング、ロッキード・マーチン、ゼネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマンなどの軍需産業との取引を放棄し、関係を断たなければならないことを要求している。第2の要求は、大学当局がイスラエルによるガザ包囲の即時停止とアメリカのイスラエルへの資金提供の停止を求めるというものだ。さらに3番目の要求は、大学当局が兵器製造業者との関係を、戦争や兵器のない未来に向けて活動する企業との経済関係に変えるべきだというものだ。

 アメリカの大学生たちが世界の矛盾の是正に大きな影響力をもつことは、1980年代にカリフォルニア大学バークレー校の学生たちがアパルトヘイトの南アフリカ政府とビジネスを行う会社への投資を大学が撤収するように要求したことが、アパルトヘイト廃止に向けて重大な貢献となったことにも見られた。

 このことは大学の公式ホームページでも学生たちの運動を誇るかのように記されている。1985年3月にアンドレア・プリチェットなど少数の学生たちは南アフリカのアパルトヘイトに抗議して座り込みを開始した。その時点では多くの学生たちはネルソン・マンデラが刑務所に投獄されていて、またバークレー校が南アフリカに46億ドルの投資を行っていることを知らなかった。学生たちは次第に関心をもち始め、警察当局が158人の学生たちを逮捕すると、運動はさらに盛り上がり、85年5月に大学当局は学生たちと話し合いの場をもつようになり、1986年7月に大学評議会は南アフリカと取引を行う企業への31億ドルの投資を撤収することを決定した。それは全米の大学とすれば最大規模の投資撤収だった。バークレー校の運動は世界の反アパルトヘイト運動の先駆けとなり、1990年にネルソン・マンデラは釈放され、94年にアパルトヘイトは廃止された。

https://www.universityofcalifornia.edu/news/how-students-helped-end-apartheid?fbclid=IwAR39DWtc2ESmez8mcP47HJnYZmut77zRD_QF1Az1ue6i-YoJWsU-Fj4uspE#:~:text=in July of,Berkeley was sealed
 
 世界的な人権団体の「ヒューマンライツ・ウォッチ」はイスラエル軍がガザやレバノン攻撃に白リン弾を使用することを明らかにしている。白リン弾は環境汚染やパレスチナ人たちの疾病をもたらすものだ。イスラエル軍の爆撃や銃撃からはやはりガンや出生障害、不妊などを引き起こすタングステン、水銀、コバルト、バリウム、カドミウムなどの金属をまき散らされている。

 アメリカの学生たちのイスラエルのガザ攻撃の関心や、軍需産業が戦争を起こすことへの理解が「Black Lives Matter」の運動のように世界的広がりを見せて、今後、イスラエルの非人道的な攻撃に抑制がかかり、またアメリカ政府のイスラエルへの絶対的な支持の姿勢に変化をもたらすことがあることを願わざるをえない。

※表紙の画像はレイセオンはキャンパスから出ていけ
マサチューセッツ大学アマースト校


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