アメリカのキャンパスでのガザ反戦運動を支持するバーニー・サンダース議員
イスラエルのネタニヤフ首相は4月24日、ビデオ・メッセージを出し、ガザの即時停戦やイスラエル関連企業からの投資撤収を求めるアメリカの学生たちを「反ユダヤ主義の暴徒」と決めつけ、ユダヤ人の学生や教職員を攻撃していると非難した。また「これは1930年代にドイツの大学で起こったことを思い出させ、不謹慎なものだ。止めさせなければならない。」と述べた。
これに対してアメリカのユダヤ系のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)は25日、ネタニヤフ氏こそ過激な人種主義政府のトップであり、学生たちの抗議運動は「反ユダヤ主義」ではないと反論した。
サンダース上院議員は「いいえ、ネタニヤフ首相、あなたの過激主義の政府が半年あまりの間に3万4000人のパレスチナ人を殺害し、7万7000人以上が負傷し、その70パーセントが女性と子供であることを指摘するのは、反ユダヤ主義でも親ハマスでもない。あなたが判断した爆撃によりガザ地区の22万1000戸以上の住宅が完全に破壊され、人口のほぼ半数に当たる100万人以上がホームレスになったと指摘するのは反ユダヤ主義では決してない」と述べた。
さらに、サンダース議員は、イスラエル政府が電気、水道、下水といったガザの社会インフラを破壊し、イスラエル軍の攻撃によって26の病院が機能停止になり、400人以上の医療従事者を死亡させ、ガザの医療システムを崩壊させたことを批判するのは、反ユダヤ主義ではないと主張した。また、イスラエル政府がガザへの人道援助を不当に阻止し、数十万人の子どもたちが栄養失調と飢餓に直面している状況を作り出しているとほぼすべての人道支援の団体が主張するのに同調し、イスラエルを非難することも反ユダヤ主義ではないとも語った。ネタニヤフ首相が「反ユダヤ主義」という言葉を使ってイスラエルの過激で、人種差別的な政府の不道徳で、違法な戦争からアメリカ国民の目をそらし、アメリカ国民の知性を侮辱することがないようにともサンダース議員は訴えている。
サンダース議員は、アメリカの中東政策やイスラエルの戦争について様々な苦言を呈して、アメリカ政界の良心を表してきた。2003年のイラク開戦に強く反対し、2011年に米軍はアフガニスタンからか完全に撤退すべきだと主張していた。シリア、イラク問題については米国が「イスラム国」(IS)を攻撃すべきではないと主張し、その政治的解決をも説いた。またオバマ大統領がシリアの「穏健」な5000人の武装勢力に訓練を施し、武器・弾薬を供与したこともそれらが過激な武装集団に移転される可能性があるために戦術的な誤りであると反対した。
2014年のイスラエルによるガザ攻撃についても激しい反対の声を上げ、イスラエル・パレスチナの二国家案こそが和平をもたらすことができると考え、パレスチナ側も暴力的クループを取り締まり、武装集団を解体すること、他方、イスラエルにもパレスチナ人に対する標的殺害(「危険人物の暗殺)と、ヨルダン川西岸での入植地拡大の停止、パレスチナ人の家屋、産業インフラを破壊しないことを求めてきた。
サンダース議員が提唱するアメリカの外交方針は基本的には国連と協調していかねればならないというものだが、莫大な戦費の使用は米国内の貧困層の生活をいっそう悪化させるものだとも主張している。2003年のイラク戦争開戦の際にも戦争に反対票を投じ、2007年にはッシュ大統領のイラク戦争が深刻で、大規模な災禍をイラクにもたらしたと公然と強く批判した。
アメリカの若者たちから絶大な支持を受け、ネタニヤフ首相を非難するサンダース議員の主張や姿勢はごく真っ当なもので、彼の主張がアメリカなどの学生たちのガザ戦争への抗議活動に追い風を与え、アメリカの中東政策に肯定的な変化をもたらすことがあればと思う。
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