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美々卯のうどんすき

うどんすき美々卯の大阪本店を訪れる。

堺に200年続いた耳卯楼なる日本料亭を美々卯と改め80余年。当主薩摩氏先々代が昭和3年(1928年)に考案したうどんすきは今では一般名詞化したものの美々卯の登録商標である。

実に四半世紀余りを経ての再訪である。学生時代留学生と一緒に恩師にご馳走になった。活け海老を直接鍋に入れるのを見て米国人女子学生たちが怖がってかしましく大騒ぎしたことが懐かしい。

東京にも6店舗もできたとは言え本店はやはり格別である。大阪都心にいることを忘れさせてくれる静寂と広々とした個室。先代社長が毎朝訪問するというだけあって目に見えて従業員の教育も行き届いている。

煮込むほどにしなやかかつこしのある自家製麺の太打ちうどん。手間をかけ宗田鰹と真昆布からとった黄金色の透明に透明を極めた出汁。そのなかで優雅に泳ぐ湯葉がまた非日常を演出する。

活け海老が昔よりは大人しく眠らさせられていた以外は昔と何ら変わりない。変わったのはうどんすきと同様に生貯蔵日本酒に引き込まれている齢を重ねた自分だけのような気もする。

大阪庶民の味うどんを初めて高級料理に引き上げた美々卯先々代の心意気に触れるような思いがした。

#美々卯 #うどんすき

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