朝7時20分の六本木俳優座前すしざんまい
6月25日朝7時20分。
六本木交差点近く、24時間営業のすしざんまいに初めて出勤前に道草を試みる。
上ちらし丼を注文してお茶をすすっていると、肌の露出度が明らかに高いワンピースに身を包んだ若い女性が倒れこむようにカウンターの対面にバサリと音を立てて座る。
明らかに酔っている。
板さん 「取り敢えずお茶と赤だしでいいっすか?」
オネイサン 「は~い、オネガイシマ~ス♪」
板さん 「サッカー負けちゃったよ。」
オネイサン 「エ~~~?ヤバ~い。」
板さん 「おまけにサッカーのせいでみんな12時前には帰っちゃって商売あがったりだよ。」
オネイサン 「すしざんまい、ヤバ~い。」
板さん 「いえ、すしざんまいはヤバくないっす。」
オネイサン 「ア~シも、お店、西麻布なんだけど12時からお客さん途絶えてめっちゃヤバ~い。」
板さん 「へい、雲丹とイクラと中とろ。」
オネイサン 「うわっ、この雲丹、めっちゃヤバ~い。」
板さん 「アザっす。」
オネイサン 「うわっ、この中とろ、めっちゃヤバ~い。」
オネイサン 「うわっ、このイクラ、めっちゃヤバ~い。」
オネイサン 「ア~シ、鎌倉から通ってんの。週2だけど~。むっちゃヤバ~い。」
学生らしい。西麻布で深夜バイトか?
「お嬢ちゃん、あのさ、ヤバいのはあんたの生活だよ。」
低い声でひとことそう呟いて、ぼくはゆっくり立ち上がり、唖然とするオネイサンを背中に、会計を済ませて店を出た。
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