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オトーサンの独白

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2018年6月の記事一覧

答志島そぞろ歩き

答志島そぞろ歩き

梅雨晴間の土曜日。昼時も間近だ。
小中の同級生仲間で、鳥羽の港から連絡船に乗り沖合の答志島に渡る。

神主のイタルちゃんの発案に従うままに来たが伊賀上野という盆地山国出身のぼくらは島に渡るというだけでなんだかソワソワしている。

来年近くの賢島で先進国サミットが行われる。
しかし連絡船に乗り込むとそんなことは露知らずといった趣で、鳥羽の街で朝の病院巡りを終えた島の老人たちが互いに病状自慢を

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梅雨明け間近の夜明け頃

梅雨明け間近の夜明け頃

日曜朝4時の多摩丘陵。

雲雀の囀りが少し離れた低い空で小さく聞こえ始めた。

やがて雲雀は群れをなし、低くなり、近くなり、ピーチクパーチクとスタッカートを効かせながら息もつげないほどに忙しく喧しくなる。

「おはよう、朝だね、今日も頑張ろう」とでも言い合っているのか?

遠く高くの彼方では、烏がカーー、カーーとひと鳴き、ひと鳴き、長く、長く、自らの声で空を楽器に奏でるかのように巣

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