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大人の読書感想文「科学者たちが語る食欲」

題名:科学者たちが語る食欲~食べ過ぎてしまう人類に贈る食事の話~
著者:デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン
訳:櫻井祐子

出会い方:youtube「ゆる言語ラジオ」のおすすめの本として紹介されて、これは読まなくては!!と思い図書館にて。

この本の切り口はいわゆる一般の「ダイエット」や「栄養」ではなく「『食欲』とはなんだ?」という点で展開されていきます。

そうそう!そうなんですよ!!ダイエットにしても、減量にしても、まずは、「腹さえ減らなければなぁ」「がまんするのが辛いんだよなぁ」というところにあって、小腹がすいたらどうにか落ち着かせたくて「飴一個だけなら・・・」、「全部食べなければ・・・」、「こっちよりはこっちのほうがカロリーが低いから・・・」、と結局食欲に負けて言い訳しながら食べてしまう。それともう一つ。食べ過ぎのこと。満腹まで食べることもなんで抑えられないんでしょう。「もったいないから」とか、「食べきれそうだから」とか思いながら満腹まで口にした後に訪れる罪悪感。「あー、また食べ過ぎて気持ち悪い(だったら止めればいいのに)」を何度やっていることやら。

だいたいさぁ、「体脂肪一桁」とか「素晴らしい体形」にならなくてもいいから、食欲と戦わずに標準体重になる方法ってないの?太るか鍛えるかの2択しかないの?だったら結局我慢するの辛くてダイエットは先送りだわーという中に、

「我慢?食欲って我慢するんじゃなくてコントロールできるんだよ。知らないの?」

という、そんなのあるの!?それを教えてよ!の本です。そもそも心の声を頼りにしたら絶対太るものしか食べたくならないし、好き嫌いはなくても体にいいもの食べ続けるのって続かないでしょという考えが間違いだったようです。食べたいものは食べていいし、体質や年齢も関係なくて、まずは今までの食の知識をいったん置いときましょうか。そしてこれを覚えておいてね。

「タンパク質を気にしてみよう」

あー、そういうことね。はいはい、炭水化物減らしてタンパク質多めにとるってやつでしょ。ササミとかカロリー低いもの食べてお腹を満たすやつ。それって結局甘いもの食べたくなって続かないんじゃ?って近いようでちょっと違う。この本の莫大な量の実験とデータによるとすべての生物に共通している食欲に関する体からの信号は「タンパク質が一定量取れたら『お腹いっぱい』って感じるよー」ということでした。つまり、置き換えるとか炭水化物を減らすというよりは、普通の食事の中でタンパク質が多いものをとると「満足」して、さらに「空腹感」が減るというもの。習慣的に自分の腹いっぱいの量はこれぐらいというのがあると思うけど、この本によると、それって誤解してたみたいです。

そもそも生き物にとって最も必要なのが「体自体を作る成分」のタンパク質。体はそれを「食べて取り入れてくださーい」という信号を「空腹」としてだけ発信する。そんなこと知らないもんだから、「あーはいはい、美味しいもの食べてくださーい」に変換されて、「美味しいものといえば甘いものとかカロリー多いものだよね~」と元々の「タンパク質ちょうだい」からずれてチョイスしてたみたい。

つまりはタンパク質の量さえ確保されれば「はい、食事OKです」となれるのに、タンパク質の少ない食事をとることで結果、多くのカロリーを摂取することになっていたのです。しかも、いったん胃に入って満足した気がしても、やっぱり体は「おい!タンパク質がもう足りねーぞ!やり直し!」として、また「あーはいはい、なんか食べたいでーす」から間食が増えたり、空腹を我慢することになるわけです。

まずはこの食欲の正体が「タンパク質の確保」にあったということを踏まえて、豆腐や納豆、鶏肉、プロテイン系のバーなどをいつもより意識して入れてみて、ご飯の量を減らしてみます。気分的に全体量が減ったようで不安なのですが、意外と「まあ、空腹感は治まったな」という感じ。それからが不思議で、一日の中で「小腹すいたー」の時間帯になっても、空腹だとはわかるんだけどお腹はすいてないという感じが。なので次の食事にもがっつくこともなく、じゃあまたタンパク質多めで全体量を今までより少なくしとこうか。また長持ちする。結果、特に我慢ということはなく体重もじわーっと落ちていくということになりました。これが体の声を上手に聞くということだったようです。

あともう一つ、これも大事。

「残すともったいない」

ってやつです。例えば、茶碗のご飯でも、デザートにケーキでも、最後まで食べたいな~と、すでに体は食欲としては満たされたのに「あと半分残すのもったいないな」とついついパクっと行っちゃいますよね。この時点では食欲は十分満たされているのに習慣的に「残しちゃダメ!」が働いて無駄なカロリーが摂取されるわけです。「もったいない」から食べとこうってなるし、食べると「もったいない」から残せなくないのは体の信号から外れた習慣的な勘違いです。まずはしっかり「残す勇気」から。次第に、無駄なものは買わなくなってフードロスともならなくなってくると思います。もちろん、自炊するのが食品数にしても量にしても最適ですが、意識するだけでもコンビニでだって上手に選べるようになってくると思います。最近は特に低糖質、高タンパクの食品コーナーが充実しているのでありがたい!

というわけで、少し諦めていたお腹のお肉達も少しずつさよならできてきています。そうなると、「じゃあ、運動もちょっとしてみよっかな」というわけです。この本ではさらに「塩分」「食物繊維」「加工食品」についてもなるほどな食欲に関する話がしっかり書いてあったので、読まれることがあればもっと食欲コントロールのサポートが得られると思います。

まずはこの本を手掛かりにさらなる正しい食への知識と体のサインに注意していこうと思います。

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