主婦でも出来るゲーム、「・・〇〇でも出来る。」デモの二文字に大きな壁があるんです。

 出来ない理由を見つけるより、出来る可能性を模索しようよ。
自分に発破を巻き付けて、時間は作るものと、家業も家事も育児も手は抜かない、手間は惜しまないけど、効率は重視して、その中で自分だけの楽しみに時間を求めてネットゲームに没頭した10年くらい?

 主婦でも出来る。細切れ時間でも大丈夫ですよ~
 主婦でも楽しい。24時間稼働すれば育成も可能ですよ~
 主婦でもクリア。足りない部分は投げ銭すればいいんですよ~

その言葉の罠に気が付いたのは、ネットでポチポチ連打するだけのゲームを始めてからだった。

何某ソーシャルコミュニティのお友達と連携して敵を倒す。操作はいたって簡単で体力で1クリック、ドロップアイテムを装備して1クリックの守備や攻撃、付加価値を上げていく。

 イベントが始まると、イベントアイテムをドロップさせるために、アクションを起こす。名だたるお友達が苦戦する中、主婦の私は難なくクリア。

特殊アイテムで身を固めてアイコンにも貼り付ける。

主婦である特権が開花した瞬間だった。

ところが、主婦である特権と思っていたものが、自分自身を縛り上げてゆく。主婦じゃなくても、学生でも、アルバイターでも、フリーターでも、会社員でも、その罠は深く果てしなく、その為に一日が、一年が、どんどん流れていくと言っても過言ではなかった。

1クリックすることが、自分の寿命を1クリック消費していく。

1クリックする為に、自分のイベントを消耗していく。

時間をお金で買うのか、自分自身の時間を消費して消耗するのか。

やればやる程リアルな出来事が無くなり、桜の花見も、稲刈りも、夏の花火も海の家も、ゲームのイベントの中で発生し、イベントアイテムが入手できなければ夏を表現することもできない、

撃沈されて娘たちが消えていく。

合成につぎ込む予定のゴミカード達が部屋を圧迫していく。

刷新時のお掃除どころか、強制お片付けに涙の絶えない日々。

なんでこんなにツライの。

細切れ時間で息抜きに遊んでるだけなのに。


もともと細切れの時間しかなくて、トイレも、自分で食べる時間も、寝る時間さえ細切れ、映画を2時間連続して見続けるなど遠い夢物語。

細切れの時間しかないのは、稼業の作業体制にも、作業自体にも起因していて、更に、その合間に、結構多い人数の家族の365日3度の食事を作ったり、食材を買い出しに行ったり、1回に肉類なら1キロ調理する、白菜1個使用する、そんな食材の買い出しに、掃除、洗濯(2日で3回)、庭の天地返しや草むしり、姑が趣味で植えた木々の剪定(これがしんどい、根元からぶった切ってやりたいわ)、子供の送り迎えやらなにやら、

 女捨ててますやん、人間すら捨ててますやん、

そんな嫁でも、一回1分、ぽちっとクリックすれば敵を倒せる、強くなれる、イベントアイテムドロップしてくる、領地拡大、バブルもクラッシュ、

 画面の向こうに人が居て、画面の中の別の世界では笑顔になれる。

細切れ時間でクリックしていたのが、

細切れ時間をより細切れに作る為に、

イベントに合わせて細切れ時間でクリッククリック。

24時間いつでもログインしている、引きこもりが誕生しました。

もともとお出かけできませんでしたし、外食も出ませんし、子供の運動会や発表会も行けなくて(姑に店番お願いしてるのに、その日に突然いなかったりする、裏切られたという感情は、まだまだぬるい、柔らかい表現だなと思います。)買い物も必要最低限の時間と経費ですし、あとはずーっと作業。作業の合間にクリッククリック、夜中も時間に合わせて起きてクリッククリック。

ゲームを複数続けて、ゲームの合間に次のゲームをクリック、1回戻って最初のゲームをクリック。

楽しいかと言われれば、

楽しいよ、

楽しいけど、

楽しいよ。

だけど、本当は、その、細切れの時間で、

ミシン踏みたいんや!

ケーキやお菓子を作りたいんや!

本を読んだり寝っ転がったり、

必要物資の調達じゃなくて、うろうろぶらぶら見て歩きたいんや。

本当は、

本当は、手で、何かを、作りたいんや、

主婦でも出来るワンクリックゲーム。主婦の時間を食いつぶすワンクリックゲーム、だけど、その達成の快感はやっぱり欲しい。

時間が無いと言いながら、時間を潰すためのアイテムを探してる。

だから、今日もお城を守るためにワンクリック。そして私の寿命が消費される。




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