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弊社のアンケート調査で見えた、新しい日本の課題と方向性

<背景>
先日、弊社で「リモートワークにおける働き方の調査」と題したアンケート調査を実施した。
その回答数は204名。
しかし、もしかしたらアンケート結果と、それが何を示しているのかがうまく伝わっていないのではないかと感じnoteを書くことにした。

<要約>
・85.6%の人が全てまたは一部リモートに切り替わっているが、14.4%の人は未だリモートに切り替わっていない。

・リモートワークに切り替わっている方は、意図せぬリモートワークへの切り替えで働き方や健康面での不安は一定あるものの、相談できる環境も持っている方が多く、1番多い理想的な相談相手は「友人・知人」であった。

・リモートワークに切り替わっていない方は、健康面についてだけでなく、働き方や今後のキャリアについてより深刻な悩みを抱えており、相談できる環境がない方も多い
そして、理想とする相談相手として専門のカウンセラーやキャリアコンサルタントを希望している。(専門家への相談ニーズが高い。)

・コロナ禍での不安を抱えながらも相談相手がいない方々の相談環境をどのように整備していくか、それが喫緊の日本としての課題である。
国家資格キャリアコンサルタントをはじめとした相談のプロフェッショナルは、今こそ1人1人が悩みや不安を取り除き、人生を前向きに生きるためにその専門性を惜しみなく発揮することが求められている

<データレポートとプレスリリースについて>
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000037754.html
こちらが弊社のアンケートをもとにした、プレスリリースである。
また、プレスリリース内にもあるが、データレポートは以下である。

データレポートの完全版(14ページ)はこちらから閲覧できます
https://www.canva.com/design/DAD7dIuMoHk/N1-cPbGo4HUOBKxoxAL8Qg/view?utm_content=DAD7dIuMoHk&utm_campaign=designshare&utm_medium=link&utm_source=sharebutton

<データレポートを読み解く>
ここからが重要なポイントである。
前提として、レポートの特徴として、「リモートワークに切り替わっている方」と、「リモートワークに切り替わっていない方」でどのような悩みや不安があるのかをそれぞれ調査している

●どれくらいの人がリモートワークに切り替わっているか

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85.6%がリモートワークに(全てまたは一部)切り替わっている。
総数は、175名である。
そして、14.4%がリモートワークに切り替わっていない。
総数は、29名である。

●リモートワークに切り替わっている方の悩みは何か?
先ほど示した、リモートワークに切り替わっている方(全体の85.6%、総数175名)が悩んでいることが以下である。

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1位「働く環境について」(55.4%)
2位「健康面について」(41%)
3位「今後のキャリアについて」(30.7%)

具体的に悩んでいる内容が以下である。

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まず、2位の健康面については
「運動不足」や「メンタル不調」など心身ともに健康を不安視する声が挙げられた。
やはり、コロナショックにおける意図せぬリモートワークへの切り替えは、心身の健康に影響を与えていると読み解ける。

そして、1位の「働く環境について」については
育児との両立や、営業やマネジメントといった具体的な仕事内容の難しさが挙げられている
そして、個人のモチベーション管理の難しさも声としてある。
意図せぬリモートワークへの切り替えにより、既存業務とは異なる方法での業務遂行が求められており、そこで感じる業務遂行上の難しさが3位の「今後のキャリアについて」の悩みに繋がっていると考えられる。

●リモートワークに切り替わっている人の相談相手は誰か?
それでは、リモートワークに切り替わっている方は、抱えている不安を誰に相談するのだろうか。
まず、自分の不安を相談したいと思うか、が以下である。

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61.4%の人が、悩みを誰かに相談したいと思っている。
それでは、そのような悩みを相談する相手は実際にいるのだろうか。

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およそ70%の人が相談できる環境があると答えている。

なお、理想的な相談相手として
1位「友人・知人」(57%)
2位「職場の同僚」(32.7%)
3位「家族」(31.5%)

を挙げる方が多かった。

結論として
リモートワークに切り替わっている方は、意図せぬリモートワークへの切り替えで働き方や健康面での不安は一定あるものの、相談できる環境も持っている方が多く、1番多い理想的な相談相手は友人・知人であった。


●リモートワークに切り替わっていない人の悩みは何か?
それでは、対してリモートワークに切り替わっていない人の悩みは何か。
回答は以下である。

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1位「今後のキャリアについて」(46.4%)
2位「健康面について」(46.4%)
3位「働く環境について」(28.6%)


リモートワークに切り替わっている方と同様に、2位には「健康面について」が入っている。
しかし、リモートワークに切り替わっている方とは対照的に、1位に「今後のキャリアについて」の悩みが来ているのが特徴的である。

具体的な悩みは以下である。

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2位の「健康面について」の不安は、リモートワークに切り替わっている方と同じく、心身ともに影響があることがうかがえる。
しかし、感染リスクについての不安が大きいという特徴がある。

一方、リモートワークに切り替わっている方とは対照的に、1位の「今後のキャリアについて」の悩みにおける回答が多い
それも、リモートワークに切り替わっている方が営業やマネジメントの難しさなどの業務的な難しさを挙げた点とは異なり、
収入が減ることやキャリアの不安など、大きな枠組みでの悩みが多い。
業務内容で悩んでいるというよりも、自身の仕事やキャリアが今後どうなるのかという、より深刻な悩みを抱えている方が多い
と言える。

●リモートワークに切り替わっている人の相談相手は誰か?
それでは、同様にリモートワークに切り替わっている人は、抱えている不安を誰に相談するのだろうか。
まず、自分の不安を相談したいと思うか、が以下である。

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悩みを誰かに相談したい人は
リモートワークに切り替わっている方の中で61.4%だったのに対し
リモートワークに切り替わっていない方では71.5%と、およそ10%も上昇しているのがポイントである。
より深刻な悩みを抱えており、相談したいという思いが強いことが分かる。

それでは、そのような悩みを相談する相手は実際にいるのだろうか。

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なんと、リモートワークに切り替わっている方のうちおよそ70%の人が相談できる環境があると答えているのに対し、
より悩みが深刻であると読み取れたリモートワークに切り替わっていない方は、53.6%もの方が相談する環境がないと答えている。
これは非常に大きな問題である。

そして、希望する相談相手に対しても、リモートワークに切り替わっている方とは違いが見られる。
1位「専門のカウンセラーや国家資格キャリアコンサルタント」(64.3%)
2位「友人・知人」(46.4%)
3位「家族」(28.6%)


リモートワークに切り替わっている方が同じく理想とする相談相手として挙げた「友人・知人」「家族」を抑えて
「専門のカウンセラーや国家資格キャリアコンサルタント」が2位と大きくポイント差をつけて1位になっているのである。

つまり、
リモートワークに切り替わっていない方は、健康面についてだけでなく、働き方や今後のキャリアについてより深刻な悩みを抱えており、相談相手がいないことも多い。
そして、理想とする相談相手として専門のカウンセラーやキャリアコンサルタントを希望している。(専門家への相談ニーズが高い。)


<終わりに>
今回のアンケートから、より深刻な悩みや不安を抱えながらも、相談できる相手がいない方がいることが浮き彫りになった。
このような方々に対して、どのように悩みや不安を取り除く相談環境を整備することができるのか、それが日本の喫緊の社会課題である。

コロナショックは「戦後最悪の」という文脈で語られることが多い。
第2次世界大戦後の日本は、焼け野原から世界第2位のGDPまで、奇跡的な復興を見せた。
その際には、経済成長と、ハード面でのインフラの整備が重要であった。
そして、今回のコロナショック。
今また日本が、そして世界が未曾有の危機にさらされている。
それでは、今回重要なのは何か。
それは本当に経済成長と、ハード面でのインフラ整備なのであろうか。
私は疑問を投げかけたい。
今こそ、本当に今まで進めてきた経済成長が私たちが進むべき唯一の道であったのかを見つめ直すとともに
一人ひとりの不安や悩みという心の問題に対して、どのようにその想いを打ち明け、相談できる環境を整備できるか
そのようなソフト面でのインフラ整備が求められているのではないだろうか。


そして、思い出して欲しい。
深刻な悩みを抱えながら相談できる環境がない方々は、国家資格キャリアコンサルタントをはじめとする専門家を理想の相談相手として挙げていた。
私も常日頃Kakedasというサービスをやりながら、多くの国家資格キャリアコンサルタント有資格者の方と関わらせていただいている。
皆さんと話していて、相談者に寄り添いたい、不安や悩みを取り除きたい、前を向けるようにしたい。
そのような強い想いをひしひしと感じている。
それならば、その想いを、今こそ社会のために、いや目の前の1人のため全力で傾けるべき時なのではないだろうか。
専門家としての知識と経験、何よりも強い想いを持つ1人ひとりの力こそが、今この国を新しい未来へと突き動かしていく。




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