Dリーグ22-23 ラウンド5 【音楽メインの感想】

やや音楽多めの感想です。

1st I'moon VS 8ROCKS

アイムーンは最初めっちゃよかった。厳かな雰囲気から始まって、音ハメしながらも繊細なハンズ中心の動きは他のチームにできない動きだったし、重心の低さとスカートが靡く感じは実にかっこよかった。

けどボーカル入ってからは結局いつもの感じというか…小道具も一瞬しか役に立ってない感じがあって勿体無い。ボーカルどうしても入れなきゃダメですかね…最初の感じのまま貫いて欲しかった。玉砕覚悟で色々挑戦して欲しいと思ってしまう。最初の煽り映像で「いままでとは違う」って毎回言ってる気がするんだけど、正直ここ一番って時に取っておいた方がいい言葉だ。

コンセプトが大掃除ってのも後々解説がないとわからなかった…

8ROCKSはスポットライトを使うことで個人技を光らせる演出が素晴らしかった。ブレイキンの場合ソロやってる時に周りどうすんねんという課題がずっとあったけど、こんな解決方法があったとは。

2部構成になっていて、後半もよく作り込まれていたし個人技のレベルも凄かった。ヘッドスピンあの速度からどうやってフリーズしてるんだ。恐ろしい。照明も前半のスポットライトだけでなく、後半はアクロバットで画面を横切るときは一瞬だけ照明を暗くしてたり、ビートのロールに合わせて点滅させたりと工夫がたくさんあって素晴らしい。

8rocksに入れました。安定感。

2nd Legit VS LUX

takumiさん回のレジット。森の奥のヤバい部族集団に紛れ込んでしまった探検者だろうか。全体の構成は素晴らしく、また安定してスキルも高かった。

ただ前の貴族と奴隷よりはちょっとコンセプトが掴みにくかった。あの時は貴族・クラシック・高貴な衣装の3つが完璧に噛み合ってたのに対して、衣装は部族?でもなんか目あるし宗教?部族ならもっとジャングルドラムとか入れるし…でも探検隊だな…てか衣装よく見たらちょっとサイバー感あるし…というモヤモヤが常にあった。

一つ一つのクオリティが高い分、微妙にリンクしてなかったのが惜しく思える。

一方のルクスはキラキラがすごいな。銅像とか前回のマスクマンと同じような雰囲気で、正直またか…とは思ってしまった。映像で見た時はあまりに反射が強くて細かい動きが見えなかったので、いいのか?と思った。

最後の指揮者っぽい構図は良かったな。あれメインで見たかったかも。

legitに入れました。でももっといけるでしょという気持ちも。

3rd INFINITIES VS KADOKAWA

インフィニティーズ、どんどん良くなってるのでは!?ステージの使い方がダイナミックになって、音ハメを入れつつ立ち踊りのhiphopとブレイキンのバランスがちょうどいい。この融合スタイルもっと早くやって欲しかった。

ソロの間に何するか問題は色々あるけど、立ってるだけでも絵になるダンサーもいるのでそういった方向の方が彼ららしいのかもしれない。

あと相変わらず曲はめちゃくちゃいいですね。重たいビートに垂らすようなエレピのコードがセクシー。

カドカワはなんか…凄かったな。正直ついていけなかったタイプの凄さだ。hinataさんはフィンガータットもできるの驚いた。衣装はやたら個性的でパリコレ見てる時のような「最先端のかっこよさってこういうことなんすか…?」って気持ちになる。一般人が真似してもみるに堪えないけど、彼らがやるからショーとして成立している。

ただ相変わらず曲がイマイチだったなぁ…こういう言い方はよくないけど日本語ラップのかっこよくない部分でできてるというか…ビートアプローチが一辺倒な上にハマってないフレーズをリフレインするのが苦手。個人的にはそもそも日本語の音素とhiphopのノリは相性があまりよくないので、リリックと発声を英語に寄せていくかトラックを邦楽に寄せていくかしかないと思っている。

インフィニティーズに入れました。



そういえばこのマッチはジャンル的にも観客の声が特に大きかったな。別に声出しOKになったから声出すのは全然いいし、それで盛り上がることもあるから是非やって欲しいんだけど、明らかに会場のマイクの位置に近すぎる人が何人かいるのは問題だと思った。複数の声が一体となって遠くから上がるのが観客の声なのに、明らかに抜けて近くから聞こえる声がある。これはその人が悪いんじゃなくてマイクの位置が悪い。改善して欲しい…


4th RAPTURES VS ALT-RHYTHM

ラプチャーズはかなり相手を意識しつつ好戦的な内容。こういう早めの四つ打ちは意外と今までなかったかも?音ゲーっぽいポップなシンセが元気で良い。スクラッチの演出なんかも楽しくて好き。

全体的にわいわいして良かったんだけど、裏を返せばずっとごちゃごちゃしてたな〜という印象。各々が大切にしていることを衣装に書いて、それをリリックでも言ってるっぽいんだけど展開が早すぎて一つ一つ落とし込めない。衣装や背景の手作り感、煽りも含めて全体的に子供っぽいというか…まあこれは後述するアルトリがかなり大人な作品だったというのもあるけど。そういうやんちゃ感も魅力のひとつだし極めていけば武器になると思う。

あと途中で「掲げる価値はdivercity」って言ってたけど普通に初耳だったな、色んなジャンル踊れるからってこと?

対するアルトリはかなりしっかりしたコンテで、年齢的にも大人のオーラが凄かった。終わった後なんて舞台挨拶みたいだったし。ここら辺がこのマッチの面白い部分で、Dリーグでもなければこんな対決は見られないだろう。

曲も衣装も世界観もあまりに好みすぎたので冷静な判断ができないかもしれない…

コンテのダンサーってみんなその辺を歩いていそうな人なのに突然身体芸術を見せられるから、潜在的な人間の能力に驚いてしまうな。SPダンサーを3人入れるという荒技は前もやってたけど、当然デメリットもあって全体で踊るところなんかは結構ブレがあった。

アルトリに入れました。これは好みです。しょうがない。


5th RAISERZ VS dip

レイザーズは鏡をテーマに、一枚ではなく三面鏡にすることで多彩な演出を作っていて素晴らしい。コートを着た状態のクランプはより男性的なニュアンスを増していて圧力と怖さがあり、非常に合っていたように思う。

こういうの、最後には主従が入れ替わるみたいなのありがちだけど一貫することで、時間いっぱいスキルと演出を見せられるのが良かったな。しっかりストーリー性とテーマを感じさせつつも、ダンス足りなくない?って思わせない。曲も緩急がしっかりあって、とにかく完成度が高かった。

一方でdipはまたこういう不気味系。今シーズンの結果を考えると安定して勝ちを狙っている感じがある。

ただ色々と合致していない部分が気になったな。浮浪者が通行人に揉まれるような痛々しい展開なのに曲がちょっとおしゃれで、jabbeloopみたいなポップなジャズとはややあっていないような気がした。中盤のピアノソロっぽい部分はアーティキュレーションがベタベタで打ち込み感丸出しだし、そもそも音源も安っぽい。言い方は悪いけどフリーBGMみたいな…

ドラムの音源が途中で2~3回くらい変わったのも謎だ。こういう生っぽい曲でやることじゃないし、ショーの根幹をブレさせてしまう気がするな。

そのせいもあって展開がよく見えてこなかった。浮浪者が希望を取り戻すのか、逆襲をするのか…?彼の身に何があったのか、もう少し演出する方法はあった気がする。

レイザーズに入れました。


6th MONOLIZ VS aRB

中華っぽ雰囲気で、かなりハンズで見せてくるモノリス。センターのアーニャさんがすごく似合っているというかテーマと相性が良く見えた。中盤のkenさんのパワフルさもかっこいい。

後半、ヌンチャクやシルクを使って展開を作るんだけど、正直これはなくて良かった気がするな…なんというか、もともと手や指を使った繊細なパフォーマンスが魅力で、そこを一番見たいのに、何かものを持ってしまうとそれが封じられてしまう。前に扇子を持った時にも思ったんだけど、他のチームと違ってmonolizは小物を使うと手先が見えなくなることの影響が大きい。全員じゃなくて一部のメンバーが持つとかだったらまた見え方は違ったのかも。

でもこういうゲームの世界の中華みたいなテーマ大好きなので全体としては良かったです。根本的にvogueと中華の相性はバッチリだし。

一方でaRBはコレオがとにかく凄かった。見たことのない動きの連続で、フォーメーションやひとつ一つの動きがどれも予想外。ずっと新鮮な気持ちで見ることができた。

そしてこのメチャクチャな音の取り方をちゃんと揃えられるメンバーもすごいな。あんな細かい16符を一個一個綺麗に捉えるのは見事だった。一人を中心とした自転をしながらゆっくり移動しつつ手も素早く動かすとか、至難の技ってレベルじゃない。凄すぎる。

ただ…胸の文字は必要だったかな….ちゃんと芸術作品として昇華させられるポテンシャルがあるのにあれがあるだけでおふざけ大学生の学祭になってしまう。めちゃくちゃすごいことしてるのにもったいないと思ってしまった。どうしてもやらなきゃダメか!?

なんかこう…「電通」って言葉が頭に浮かんでしまった。

MONOLIZに入れました。


全体を通して

特に好みだったのはアルトリ。刺さったのはインフィニティーズとMONOLIZでした。次回はサイファーなので何が起こるのか全くわからない。楽しみです。


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