Dリーグ22-23 ラウンド8 【音楽メインの感想】

音楽メインの感想です。

LUX VS RAPTURES


・LUXは本当に一貫していつも通りというか。得意のジャンルで安定感があったし、わちゃわちゃしがちなラプチャーズに対して大人っぽい落ち着いた雰囲気で対抗するのは作戦としても理想的。引き算がうまくできていて、勝つことへの冷静な計算が見えた。

・個人的にはアイデアや独創性がない作品はあんまり好みではないのでこの段階ではラプチャーズあるかもと思っていた。

・一方のラプチャーズはまたこういう感じか〜。今までの作品で小物の使い方がうまくいってなかったり、ハイテンポな曲に全員が合わせきれていなかったりという点が指摘されていたのに特に改善が見られなかったのが残念。もちろんチームのカラーとしてそういう方向なのはいいんだけど…

・コールセンターのテーマは面白かったけど、結構タイムリーな自虐とか入れてて見るの辛かった部分も正直あるな…あくまで印象だけど

直近の戦況を作品に落とし込んでいる→
作品が出来てから日が浅い→
あまり作り込めていない(ように見えてしまう)

というのを無意識に感じてしまってマイナスな気がするんだけどどうなんだろう。

・LUXに入れました。ラプチャーズそろそろ勝つところが見たい。

aRB VS 8ROCKS


・aRBは相変わらず曲がめちゃくちゃいいな〜〜〜!!単に8bitの音を使うだけじゃなくて2000年代のテクノビートとさらに現代っぽいノリのラップを乗せることで違和感なく構成されているし、2分という時間でしっかり中弛みしない工夫が随所に見られた。さすがエイベックス…

・コレオもコントローラーを再現したり、わかりやすいマリオ的なアクションだけじゃなくて格ゲーっぽい動きや落ちものパズルとか幅広く落とし込んでて見事だった。なんとなくテーマの表層をなぞるんじゃなくてちゃんと理解した上で自分たちのモノにしていると感じた。

・一方8ROCKSは伝説のショーを元にしていた…らしい。ブレイキン全然詳しくないので後でエナジーさんのyoutube見てから元の作品も見てきた。世界的な舞台で完全にかましてて最高。あとDリーグで見るような最先端のブレイキンと2000年代初頭のブレイキンだと何となく違いがあって面白かった(うまく言語化はできんけど)。

・元を知らない人間からすると、普段より隙が多くてアップテンポな楽曲とちょっとずれがあるようにも感じた。元が5分あったのを縮めた影響なのかな、少しボリューム不足に感じてしまった。普段の密度が高すぎる。

・aRBに入れました。そしてサブスクも聞く。


MONOLIZ VS Legit


・モノリスはかなりど直球なvogueだった印象。ダックウォークなんかも入れつつ伝統的なスタイルの重みとプライドが伝わってきた。めっちゃよかったです。

・かなり完成度が高かったのに勝てなかったわけだけど、何となくその理由はわかってしまうんだよな…これはモノリスというよりvogueというジャンルそのものの特性な気がするんだけど…

・まず曲に緩急がつけにくい。元がバトルビートでダンサー間で不公平にならないように一定のリズムを刻むように出来ているし、基本的に和声感よわめでベースとパーカッションの主張が強いからコード進行で色をつけにくい。もちろんこれまでの作品を見ていればたくさん工夫しているのが痛いほどわかるんだけど、それでも他と比べたらショー適正が低くなってしまう。

・そしてここ一番のキメみたいな技があんまりない…というかバトルではそれがディップだから明確な盛り上がりを作りにくい気がする。結果として中盤のわかりやすいハンズで一番客が沸いて、うまく最後まで熱を維持できないというのが最近のモノリスでよく見る気がする。

・対するレジットはなんかもう、完璧だったなという印象。2分の中にしっかりストーリーを盛り込んで、ロックとポップとタットを最適なバランスで使い分ける。今シーズンで確立したスタイルの安定感を思い知らされた。

・メンバーの配役もちょうど良くて、TAKUMIさんやenaさんの堅い印象が警察、KAIさんとKANATOさんのやんちゃな雰囲気が泥棒というのがぴったり。中盤では「これくらいのバッグを盗まれたんです」ってことを地獄さんが警察に伝えるシーン、たった8小節のボディランゲージが上手すぎる。

・曲も良かったな〜。「警察ものっぽい曲」の難しい雰囲気をちゃんと掴んでいて、踊る大捜査線とか捕物系の緊迫した怪しさとスピード感、それでいてどこかコミカルなチープさがたまらない。サイレンの音をサンプリングして遊ぶのも新鮮味があって楽しい。

・legitに入れました。モノリスはvogueをさらにアイデアで進化させられたら…

BATTLES VS INFINITIES

・dipはルーズめなhiphop、これは間違いなく対戦相手意識してるなと思った。気怠げな雰囲気の中にもしっかり音ハメがあって、安定感がある。

・個人的には曲のビートが独特すぎて客がついていけてなかったような気がしたな。中盤まではシンプルなリズムのhiphopなんだけど、後半から四つ打ちっぽくなるあたりで結構癖が強い。ハイハットはしっかり裏とってるのにバスが不意に抜ける部分があったりして、初見だとちょっと意識しないとリズムを掴みにくい。

・一方でラップのアプローチは淡々としてるから山場を感じにくいというか、端的に言えばあまりポップじゃない。もちろんそれ自体はダンスにおいてデメリットではないけど、衣装や本人たちの表情が明るく楽しげだったのでなんだかんだアンバランスな部分が目立った気がする。

・対してINFINITIESは構成としてはdip近いんだけど、曲やファッションなど本人たちから感じられる全体の統一感がしっかりあった。ややレトロめのファンクに対してデニムや古着のニュアンスがぴったりだったし、普段のスタイルを好印象で届けられたように思う。

・ソロに対して全員がちょっとだけシンクロする中盤は彼ららしさを強く感じた。指先まで丁寧に揃えるとかではないけど、より深い部分でしっかり共鳴している。あと相変わらず終わり方カッコ良すぎるなこのチーム。

・INFINITIESに入れました。初勝利、熱かった。

ALT-RHYTHM VS RAISERZ


・アルトリはまずめっちゃ曲がいい。ラテン系のリズムとパーカッションに広がりのあるシンセの融合、すごくアルトリっぽい。

・加賀谷さんの表現力が本当にすごくて、ダンスはもちろん表情の見せ方がプロを感じた。序盤はちょっとだけダンスに混じるんだけど「いややっぱなんか違ぇかも…」みたいな顔を一瞬で作れるのすごすぎる。タップもめちゃくちゃ映えてた。

・ジェンダーレスをテーマにしつつ、安直なLGBTQのステレオタイプに頼らないのが流石の表現力だと感じた。もちろん派手なメイクとかレインボーはそうだけど強調しすぎないし、曲もダンスも特定のジャンルを感じさせないボーダレスなものになっていて、全体のディレクションが素晴らしい。前シーズンのファッションショーの回にやや近いものを感じたんだけど間違いなく進化してる。

・対するレイザーズは学園テーマの3作目。ちゃんと中身は変えつつ今回は運動会ということでお馴染みの曲をサンプリングしている。

・めっちゃ面白かった。いや本当に。えりなっちさんがボッコボコに殴ってるところ、あんな表情できる?面白すぎる。音もクッソ安っぽいのがピッタリで、くだらないことでも全力でやり切ってるから素晴らしい。レイザーズはなんだかんだクランプを軸にしつつもなんでもできる表現力がかなり強いと思う。

・後半、メインのフレーズになったあたりで曲の勢いが落ち着いたように感じたんだよな。こういうのって起承転結で緩急を…とかよりどんどんギアを上げつつ最後まで走り切らないといけないから、いっそもっとボーカルも掛け声も入れまくってはちゃめちゃな電波曲にしちゃった方がもっと盛り上がったのかも。

・あと今見返して気づいたんだけどキスしたらえりなっちさんが悲しんで変身するの、普通に謎だ。

・アルトリに入れました。

KADOKAWA VS I'moon

・アイムーンに対抗して女子チーム。普段より柔軟な動きが多くてしなやかだけど、内面の強さを感じた。

・落ち着いた視点で見ると、ステージ全体の使い方が上手いことに気づく。広くつく時もあればまとまって動いたり、展開を作って飽きさせない。途中ピンスポがずれてたのはちょっと残念だけど、しっかりクオリティが高いと感じた。この辺はアイムーンが苦手な部分なのでしっかりウィークポイントをついている。

・あと珍しく…といったら失礼だけど、曲かっこよかったな。普段の日本語ラップがあまりハマってない印象なので、全体的にスタイリッシュかつ細かい部分まで作り込まれた良い曲だった。

・I'moonはかなりよかった。ダークな雰囲気を一貫して維持しており、中盤で変にキャピキャピしないのはこれまでと比べて非常に良かった。音ハメを入れつつ曲の深い部分をしっかり捉えていて、技術的な部分もしっかり見せられていたように思う。

・普段の武器である可愛さを封印したスタイルだが、この形になってなお見えてくるのは彼女たちのスタイルの良さだ。すらっとした出立ちや指先まで神経の通った仕草は間違いなくKDにはない要素だし、ガルクラ的な要素として見事に作用していたように思う。手足の長さはアクロ等を交えた振り付けで存分に生きており、なんだかんだバチバチにいいところをぶつけ合ったマッチだった。

・アイムーンに入れました。

全体

個人的には好きな感じのショーが多くて楽しかったです。


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