電力難民の割安料金是正 法人向け最終保障、市場価格反映へ

経済産業省は電力小売りとの契約がない法人に必ず電気を届ける

「最終保障供給」の電気料金を見直す。

電力小売会社がそれぞれ定めている標準料金の1.2倍で固定していたが、

市場価格を随時、反映させる方針だ。

足元では燃料の高騰で電気料金が上がり、割安になった最終保障への申し込みが急増していた。

経産省の電力・ガス取引監視等委員会が近く料金の見直し方法を決める。

最終保障供給の電気料金は大手電力の送配電会社が約款で決める。

各社は約款を修正し、経産省に届け出ることになる。

最終保障料金が割高な状態を保つために、市場価格を反映させる。具体的には電力の卸市場価格や、新電力が卸売市場から必要な電力を調達できなかった場合に不足分を穴埋めした送配電会社に支払う料金をもとに決めていく案がある。

最終保障供給は電力小売会社の倒産や事業停止などで小売り契約がなくなった「電力難民」の法人にも必ず電気を供給するセーフティーネット

で、送配電会社に供給義務を課している。一時的な利用にとどめるため、最終保障が割高な料金になるように設定してきた。

最近はロシアによるウクライナ侵攻もあり、

火力発電の燃料となる石炭や天然ガスの価格が高騰している。

新電力の供給する電気が値上がりして顧客が大手電力の小売会社に流れているが、大手もコスト負担が重く、高値でしか電力を販売できない。結果として、最終保障供給の方が安くなる逆転現象が起きた。

大手電力の小売会社の多くは最終保障より料金が高いプランしか提案できず、法人向けの新規契約を事実上、停止している。

今回の措置によって最終保障が割高な状態に戻れば、大手電力の小売会社に法人向けの新規受け付け再開を促すことになりそうだ。

経産省によると最終保障の利用件数は3月から急増し、4月15日時点で4098件となった。

送配電会社にとっては赤字で電気を販売する形で、経営の重荷となっている。