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宝塚歌劇雑文集

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#霧深きエルベのほとり

鴎よ、伝えてよ!―『恋の花詞集』とカールの真心

『霧深きエルベのほとり』新人公演を見てきました。 カールを演じた極美慎(きわみしん)君。屈託がなくてまっすぐで、それは本来のカール像とは離れているかもしれないけれど、新人公演らしいアプローチで、とてもよかったです。 橋本治さん(1月29日に亡くなられてしまった…)の『恋の花詞集』という本があります。 昭和の年数と同じ64曲の歌謡曲について書かれていて、タイトルはタカラヅカの『花詩集』から取ったもの。「すみれの花咲く頃」も入っているのですが、その大トリを飾ったのが「霧深き

教えて、フロリアン先生*宝塚星組『霧深きエルベのほとり』

断片的な映像を見たことはあるものの(順みつきさんと若葉ひとみさんです)、劇場でちゃんと観るのは初めて。「古いお話だよー」と聞いてはいたけれど、演出は上田久美子先生。しかも、意外にも、とても思い入れがあるみたいで、菊田一夫の脚本を絶賛していらっしゃる。きっとうまくアレンジしてあるのだろうなあと思いながら、楽しみに観た。 宝塚歌劇の名曲「鴎の歌」をカール(紅ゆずる)が歌い上げ、大階段を使った「ビア祭り」のプロローグが始まる。テンポがよく、星組らしいエネルギーが炸裂していてとても