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宝塚歌劇雑文集

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#ひかりふる路

宝塚雪組『ひかりふる路』*新人公演を観て考えた

結局のところわたしは、「なぜロベスピエールなのか」というところで止まっていたのだと思う。 マクシミリアン・ロベスピエール。自身が「革命」と妄信するものを推し進めるために、恐怖政治で4万人もの命を奪った独裁者。何百年、何千年経ってもその行いを許せないし、そんな人物を宝塚歌劇の主役として描いてほしくなかった。 タカラヅカで上演するなら、よほど周到に扱わない限り、「美化」につながってしまうからだ。ナチスSSの軍服をカッコイイ衣装として身につけたアイドルグループが非難されるように

宝塚雪組『ひかりふる路』  わたしがこの「物語」に乗れない五つの理由

1月7日 15時30分 ■物語の案内役は誰?大劇場で観て以来の観劇。ヒロインのマリー=アンヌを演じた真彩希帆ちゃんをはじめ、芝居の熱が抑えられ、作品全体が引き締まった印象を受けた。 とはいえ、作品に対する印象は、初見時からほとんど変わらず、やはりこの作品は好きになれないのだと悟った。 理由はいくつかある。まず一つは、物語のよりどころとなるような、観客が素直に感情移入できる人物がいないこと。 特に、今回のような、主人公に感情移入しづらかったり、複雑な歴史的背景をもった物