今読んでる本
久しぶりにブックオフに行った。
お菓子の本を2冊購入した。
安定のベターホーム出版局のシンプルな本だ。
20代後半から30代半ばまで、気が狂ったように週末にはお菓子を焼き、妹、友達に配りまくっていた。
自分では、ほとんど食べなかった。
とにかく作りたかった。
混ぜたり、焼いたりが楽しくて、数時間で出来上がり、達成感を得られ、生きてる感を味わえたから。
それほど、心が達成感を渇望していたのだな。
だって、描いても描いても思うような絵が描けず、オリジナルなスタイルが出来ず、不安で焦り、いつも崖っぷちに立っている感じだったから。
ポートフォリオを持って出版社を回る日々、どこに行っても「どこかでみたような絵だ、オリジナリティを追求しなさい。これは、絵本向けの絵ではないね。」と言われる。
そんな、ある日、「どうしたら描けるんでしょう?」なんて売り込み先で初対面の編集者さんに相談する始末・・・すると、「あなたの好きなものを書いてみたら。」と言われた。
私は、絵本が描きたかったのだが・・・多分、まだ、その時が来ていないのだな。一旦諦めよう。と心を決めた。そして、今、好きで、描けるもの。私の武器はなんだろうと考えた。
売り込み先で、オリジナリティーがないと言われたものの、色使いが素敵ですねえと褒められたので、色を活かして線でなく面で描いてみようかな?
そうだ!面で描くなら生地のパターンのようにシンプルで強くて優しい絵にしてみよう!とカーテンを眺めながら閃いた。
問題は、テーマ。
一旦、絵本ーかわいい子供、動物を封印し、何を描こうかなあ、好きなもの???そうだ、お菓子作り、まずは、お菓子の本にカットを描かせてもらうことを目標にポートフォリオを作ろうと思いついた。
そして、アレンジして作っていたお菓子のレシピを10点、材料パート、作り方パート、イメージパートに分けて、一冊の料理本のようなポートフォリオを作った。ほぼ3か月もかけてしまった。もちろん、テキストも自分で書いた。
当時は、オレンジページ、レタスクラブ、ESSEなど若い主婦層向けのお料理メインの雑誌が全盛期だった。
各出版社へ持ち込んだところ、どこも好評で、その日に仕事をもらったこともある。その後10年くらいは、お料理関係の雑誌、書籍の挿絵の仕事をメインに描いた。
文化出版局からは、まさかのお菓子の絵本『ウィークエンドはお菓子屋さん』まで出版させていただいた。売れずに絶版。とほほ・・・
けれど、その本はしばらく名刺代わりに活躍してくれた。
絵も描く、テキストも描く、レシピも作る、レイアウトまでしたのだから、
あら、この人使えるわと思われたようだ。
特に、婦人之友社には長年(10年くらいかな)大変お世話になった。
カットだけでなく、日記帳、料理本の装丁、ポストカード、カレンダー等のデザインまでさせてもらった。
歴史ある素敵な建築物、チリンチリンと鈴を鳴らして呼び出す受付、暖炉のある会議室、お茶帽子を被せて丁寧に淹れていただいた紅茶とお菓子、そして明日館、改築前の明日館に入れてもらえた時に全身に鳥肌がたった。
レトロモダン、西洋館の好きな自分としては胸がいっぱいで今でも思い出すと時を超えて、あの場所に戻りたくなる。
お菓子の絵を描いて、素敵な出版社に巡り会えたことは若き日の宝物だ。
良い経験をたくさんさせていただいた。
そんなわけで、どっぷりお料理、お菓子の絵の世界に浸っていた。
「from the kitchen」という個展を当時は南青山の骨董通り沿いにあったPinpoint Galleryでしたこともある。
すっかり絵本から遠ざかり、潔く諦めることも大事だと自分に言い聞かせていた。
が、人生折り返し地点の遅い結婚をして、絵本熱が再燃。
なぜなら猫と暮らすようになったから。
猫は苦手、無理と思っていたのだけど・・・まああ、かわいい。
気がつけば、ミューちゃんばかりスケッチしている。一日中見ている。
そこへ、シシィちゃんまでやってきた。
二人の性格の違いが面白い。
まるで人間の小さな姉妹。
すると、自然に猫のキャラクターが描けるようになってきた。
というより描いていた。
でも仕事になるとは全く思わなかった。
なぜなら猫全盛期、素晴らしい猫の絵描きさんがたくさんいらっしゃる。
元々、隙間を狙う性格なので、無理無理だと思っていた。
ある日、パウンドケーキを焼いて食べているとミューちゃんとシシィちゃんが欲しがるので、少しだけあげた。
3人で仲良くお茶の時間をしたというわけ。
あー、二人が人間だったら毎日お茶しておしゃべりできるのにねえ、
絵本や童話の読み聞かせもしてあげるのにねえなどと思った。
そうだ!
この気持ちを描いてみようかなと思い、描き始めた。
1枚描いたら、楽しい。
あら、いいんじゃなーい、なんか個展がしたくなった。
でも仕事になるわけないし、私の描く猫は下手くそだもんなあと思っていた。
その頃、ドライブに出かけるたび、福山雅治のラジオ番組をよく聞いていた。タイミング的にその時間あたりに旦那が車を運転したくなった。
面白かった!かっこいいのに面白いなんて、ずるいやつだぜ福山は!と
旦那はよく言った。確かに!激しく同意。
そのせいか、ある日、夢に福山雅治が出てきて、一言言い放った。
「ゴー!です!進んじゃいましょう!」と。
夢の中で、私は個展を決意した。
目が覚めて、旦那に夢の話をしたら大笑いされたが、やった方がいいと言うので、夢の中の福山雅治と現実の旦那に背中を押されPinpoint Galleryにて
「一緒にお茶して、本読んで」というタイトルで愛猫ミューちゃんとシシィちゃんとしたいことを30点ほど描いて展示した。
完全に自己満足の絵画上の具現化だ。
恥もかき捨てちゃえと決意し、短いテキストもつけてみた。
小さい絵だったので、これが仕事につながるなんてありえないと思っていたし、期待もしていなかった。
が、絵本のオファーが2社からいただいた。
猫の絵がかわいい、魅力的、テキストも楽しいとのこと。
校正の仕事を15年していたというプロフィールが説得力があったのかな?
ミューちゃんとシシィちゃんは、私に絵本の仕事を招き入れてくれたのだ。
まさに招き猫だった!
そして、思った、若き日の全ての経験は無駄ではなかった。と。
「時」を待ち、ジグザク蛇行運転してきたけれど、自分はそういうタイプなのだと。幼少期から隙間を狙うタイプだったのでなるべくしてなった、こういう大人に。だな。
で、最近、またお菓子作りがしたくなった。
でも、若き日の達成感が欲しいという理由ではない。
ただ、節約したい。
絵を描いていると腰が痛いし、目も疲れる。
気分転換にお菓子作りはちょうどいいし、楽しい。
人にプレゼントして喜ばれるのも嬉しいのだ。
昨今の感染症流行を考えると、人にあげるのは難しいのだけど、家族に無理やり食べさせることは可能だ。
と言うわけで、お菓子の本を2冊購入した。
売るほど持っていたお菓子、料理本は定期的な引越しのたび古本屋行きとなっていて本棚には絵本と文庫本ばかりだったので、なんか嬉しい。
ピッピとの出会いは、子供の頃見たNHKの実写版「ながくつ下のピッピ」。次に偕成社から出ているシリーズものをワクワクしながら読んだ。
そして、数年前このカラフルな、まさに。これがピッピだ!と言える本に出会った。訳が面白い。奇想天外な発想におばちゃんなのにワクワクしてしまう。内容は知っているのにだ。
「夏への扉」は再読。たまになぜか読みたくなる。一度、引越しの時に手放したのだが、また読みたくなり購入。やっぱり面白い!
猫好きになった今、また、新しい視点で読める!
「10月はたそがれの国」は初読。まだ読み始めたばかりだ。
10月、たそがれ、この2ワードでキュンとくる。面白そうだ!
改めて自分はSFが好きだなあと思う。
「ゆきがやんだら」
しんしんと静かで温かい絵本
酒井駒子先生、本当に絵が上手い。羨ましい画力です!
ひゃー、ついつい 取り止めもなくだらだらと書いてしまった。
ゴミ出しせねば!