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子ども食堂からフードバンクへの流れとニーズ

最近、色々な実践者の課題や悩みの一つとしてでてきた話があるので、少し備忘録と振り返りも兼ねて書き綴ってみようと思います。

1.子ども食堂運営者がフードバンクを立ち上げるに至るまで

私自身は、子ども食堂が今のように広がる前くらいより、栗林さんや湯浅誠さんたちのお声かけの元、

広がれ!こども食堂の輪inみやざき(http://kodomoshokudo-tour.jp/)の立ち上げを行い、そのまま時代の流れに沿う形でこどもの貧困問題に関わる県のネットワークである「みやざき子ども未来ネットワーク」の設立を行ったのですが、

その中で色々なニーズや課題と向き合ううちに、

近い将来フードバンクがメイン事業になる時代が来る。フードバンクが機能しない限り、食支援は動かない。

と行う気がしていて、それから少しずつフードバンクのリサーチをしてきました。そして、子ども食堂を中心としたネットワーク構築を進めながらゆくゆくはフードバンクの立ち上げをしなければと思っていた矢先、コロナが起きて事態は急転。5年後設立を大きく前倒しし去年、「フードバンクみやざき」を立ち上げるに至ったのです。

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さて、子ども食堂を立ち上げた時から「アウトリーチ支援」であるこども宅食の可能性を感じていて、直ぐに準備にかかったのですがこちらもまたコロナの影響で、一気に広がり始めました。子ども食堂実践者の中でも弁当を個別に提供したり、「フードパントリー」という形で支援がスタートし居場所支援から個別支援へと大きく支援が動き出したのも特徴的。

子ども食堂は比較的地域で食材調達が完結する仕組みなのに対し、こども宅食やパントリーサービスは個別への食材配布の為、食材の量は相当数に上ります。こうなると運営者が片手間に食材調達をしているレベルを超えてしまいます。そこで私たちはフードバンクみやざきを設立し、県内全域に食材を供給できる仕組みを作り始めました。

さて、最近の仲間達の課題なのが、食材調達と提供について。少し妙な現象が起き始めています。

子ども食堂やこども宅食をしようと思って食材調達をしているが、障がいや生活困窮者からの希望が増えていて戸惑う。若しくはうちは子ども向けの食材調達しかしていないから、断っている。

こういう声が少しずつ出始めています。

実は、この辺り実践しながら体感中なのですが、フードバンク文化のない地域にとって「子ども食堂」「こども宅食」は企業や行政にとって最も支援しやすいテーマになっていて、寄付・食材・行政事業が次々と舞い込みます。しかし、不思議な事にそれ以外で食を必要としている人たちには提供できていないという状況が起き始めているのです。

これは背景と流れを考えると当然なのかもしれないのですが、子ども食堂実践者にとっては、そもそも食材調達というのは子ども世帯の為の食支援の一環で始めているところが多く、その他の人への食材調達までは想定していないんです。
その上、行政やメディアにとっての「貧困対策」は、支援対象者のメインがなぜか子育て世帯というイメージが先行してしまい、寄付や福祉政策がどこか「子どもの為の食支援」になってしまっている状況は否めません。

2.食支援の先は子ども達だけではない。

実は、フードバンクとして出てきた課題が正にこの辺り。困窮の相談が来る人は子育て世帯だけではありません。今増え始めているのが若い人達なんです。

精神疾患、障がい、学生、外国の方からの相談がじわじわと増え始めています。

そして、そのニーズは今回のコロナ禍の中で爆発的に広がり始めたのです。

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3.子ども食堂から派生したフードバンクがどこまで既存のフードバンクへ近づけるか

今回、県内全域の食支援のインフラ整備を目的に「フードバンクみやざき」を設立したわけですが、県内だけでの調達は不可能なため私は全国フードバンク推進連盟に加入させていただきました。そして、全国のフードバンクの方とやり取りさせていただくようになり、日々が学びです。特に先日伺ったフードバンク福岡さんではフードバンクの視点が、根本的なところから違っていました。これぞフードバンク!という感動すらありました。

当たり前ですが、食支援は子どもだけの支援ではないんです。全ての方が支援の対象者であります。そして、大きな視点としてはフードバンクは「フードロス」という視点がしっかりと入っている。これは、どういうことかと言うと、関わる担当部署が変わるという事。もっと具体的に言うと「厚生労働省」ではなくて「農林水産省」なんですよ。こうなると環境問題の話も出てきます。

既に、フードバンク文化のある自治体では子ども食堂やこども宅食のネットワークとフードバンクが連携し、必要な食材の供給が可能となっているようですが、元々フードバンクが盛んではない地域においては、それが不可能な為子ども食堂実践者が自らフードバンクを立ち上げる事となります。

今後、子ども食堂から派生したフードバンクがどこまで従来のフードバンクに近づけるか。もしくはいかに子どもに特化したフードバンクにしていくかなど、考えていく時期も近いのではないでしょうか。



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