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乗馬教室12 大失敗やらかした

モンテクリスエス  大失敗やらかした

ラピュタ


イケメンのラピュタ

レッスン前、受付でラピュタのフレグモーネの具合を尋ねたら、順調に回復していて、少しずつ走れるようになってきたけれど、お仕事復帰にはまだ少し時間がかかる、とのこと。
お部屋で休養中のラピュのところに行ってみた。左右の後ろ脚の太さはさほどの差もなくなっていた。とりあえずほっとした。

さて、今日のレッスンもモンテだ。完全に専属化しているみたい。もちろんモンテが好きなので文句はない。
なぜモンテが好きなのかというと、あの「デカい馬体」と「けだるさ」と「冷静さ」かなあ。モンテは愛嬌を振りまくこともなくて、どちらかというと不愛想かも。そして動きは緩慢。私もモンテが張り切ってすっと立ち上がる姿など見たことがない。指示が伝わりにくいとか、ちょっとおさぼりだと言う先生もいる。気が荒いというようには見えないけれど、気まぐれ感はかなりある。
先生たちにお気に入りのお馬さんを尋ねたら、サンライズヤマト、コスモラピュタ、ブラックカイト、小風などなどetc・・・いろんな名前が飛び出すんだけれど、モンテがいちばん好きという先生は今のところいない。
でも、誰がなんと言おうと、私はモンテが好き。それに最近はトーラクもそこそこすんなりつけされてくれる。モンテも私を好きになってくれたからなのかというと、それは怪しい。多分ちがう。
実は私は秘密兵器を入手したのだ。
それは虫よけスプレー。彼は虫がいるとイライラするみたいなので、受付で虫よけスプレーを買った。9600円也。高いけれど、これでモンテのイライラが少しでも治まって、馬装が少しでもラクにできるなら安いものだ。
というわけで、多分虫よけスプレーのおかげでトーラク着けも自分でできたし、レッスン場まで問題なく行けた。
ところが、実は今日、私は大失敗をやらかしてしまった。
乗るとき、なんでか分からないけど、私のお尻は鞍の後ろに着地してしまった。
要するに鞍の上ではなく、鞍の後ろのモンテの腰の部分、つまり後ろ足のま上に着座してしまったということ。
「やばい」
私がつぶやくと、先生が大きな悲鳴を上げた。
その悲鳴に驚いたのはモンテでなく、私だ。思わず落ちそうになった。
けど、何とか持ち直した。持ち直したものの、私はモンテの腰に半またがりの状態で、お尻を鞍の上に移動できずにいた。後橋(こうきょう)という鞍の後部はせり上がっていて、お尻を上げてそのせり上がりを越えて正しい位置に座りなおすことができない。私の右足はモンテのおしっぽに触れながらぶらぶらしているので、ふんばれない。無理にそれをしようとしたら、右足でモンテの後ろ足を蹴ってしまう。
モンテはじっとしている。
はて、どうしたものか。
今日の先生は初顔合わせの先生で、私のドン臭さに狼狽してしまったようで、
「わー!どうしよ、どうしよ!どうしたらいいんだろう!」って、焦りまくった。
で、隣りでほかのクラスのグループレッスンをしている梨村先生を大声で呼んだんだ。
梨村先生はこれまで何度かレッスンしてもらった男の先生で、私のドジさをよくご存じだ。
こちらに来て、下から腕を伸ばして私のお尻をぐぃっと押し上げてくれたので、私は何とか鞍の上に着座できた。
梨村先生は、よかったよかったと言って、すぐに自分の持ち場に戻っていった。梨村先生の生徒さんたちはそのあと私と目が合うと、みんな笑ってくれた。こういう時って、バカにされていてもいいんだ、とにかく笑ってくれれば、私の気持ちは助かる。その生徒さんたちにもぺこぺこ頭を下げて、私のレッスンは始まった。
「モンテはおとなしいし、冷静だから事なきを得たけれど、これがほかの馬だったら、走りだしたり、暴れていたかもしれませんよ。大事故につながるんです。慎重にやってください」
怒られた。
確かにそうだ。あやまるばかりで、言い訳などできない。これまでいろんな先生に教えてもらったし、私はたいがいいろんなヘマをやらかしたけれど、先生があんなふうに悲鳴を上げたのは初めてだ。
それだけ私の今日の失敗は重大だったということなんだろうね。
どうしてそんなアホな失敗をしてしまったのか、自分でも分からない。
ジム通いも始めて、いつもしっかりストレッチをしているので、股関節も同年代の人よりはるかに柔らかいはず。なのに、どうして・・・・。(泣)
そしてレッスン後のおやつタイム。
「モンテ、冷静でいてくれてありがとう」
「おまえなあ、ほんま、どんくさすぎや。ふにゃふにゃしとったらあかんぞ」
モンテはニンジンをぼりぼり食べながら、呆れ顔で私を見た。
「じっとしててくれてありがとう。モンテが感度の悪いお馬さんで、ほんと、助かったよ」
「おいこら。俺が感度悪いってか。失礼やぞ。モンテはいかなる時も冷静沈着を保てる良いお馬さんやと言え」
「わ。ごめん。うん。そうそう。冷静沈着な名馬モンテでよかった。ありがとう」
「おう。分かったらそれでええ」
今日はひたすらじっとしてくれていたモンテにありがとうの言葉しかない。
しまった・・・・。帰り際、梨村先生にお礼を言うのを忘れた・・・・。あーあ。

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