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乗馬教室3 今日はトレッキング

ナカとモンタ  今日はトレッキング

三木ホーストレックにはモンテクリスエスに、マイネルレコルト、ダノンジェラートとかメイショウドンタクなどの有名な元競走馬だけでなく、ほかにもかっこいいお馬さんがたくさんいて、乗馬レッスンを担当している。ほとんどがサラブレッドだ。
彼らは私みたいな下手くその相手だけでなく、難しく危険も伴う上級者の練習にも駆り出されるので、技術面はもちろんのこと、彼らは心を乱さないための調教もされている。引馬の姿を見るだけでも、私はいつも感動する。

レッスンも良いけれど、今日はちょっと趣向を変えて、森のトレッキング1時間コースで楽しもう。
トレッキングは乗馬未経験者でも楽しく挑戦できるんだ。乗馬に興味ある人のはじめの一歩としてはおススメである。馬の背中で森のマイナスイオンを浴びながらお散歩できるのだから、とても気持ちがよくて、ストレス発散にもなる。
スタッフも馬2頭に対して1人がついてくれるので、しっかり目は行き届く。それに携帯電話を預けておくと、トレッキング中の写真をたくさん撮ってもらえる。
トレッキングのお馬さんはサラブレッドではなく、日本乗系種といって、要するに雑種。でも「雑種」は響きがあまりよくないので、この日本乗系種という呼び方に賛成だ。個体の名前も「けいた」、「モンタ」、「知床丸」など和風のものが多い。
彼らはサラブレッドに比べると小ぶりで足も長くない。けれど、力持ちで我慢強い。重い荷物を背負ったり、荷車を引いたりするのは得意だ。侮るなかれ日本乗系種。
私はここでのトレッキングは3度目になる。これまでの2回は明華(めいか)という名の鹿毛の男子だったが、彼はとても真面目で、一生懸命やってくれた。ぼーっとしていても、安心して乗っていられた。もしかしたら、スタッフさんがずっと手綱を持っていてくれたのかもしれないが、私は本当に最初から最後までぼーっとしていた。
今回は明華ではなく、ナカという名の真っ白な美しいボディーの19歳オス。
また前のように馬の背中でぼーっとしていられるものと思っていた。
4名の参加で縦一列。それでは行ってみよう!
先頭の私の横にはスタッフの女性がついてくれていて、すぐ後ろにはモンタに乗っている若い男の人(実は私の息子)。その後ろの2人にも、ちゃんと別のスタッフさんが1人ついている。
スタートして2分後、さっそくスタッフさんが「あら、あら」と笑いながら、私とナカを置いて、駆けていった。
振り返ると、右はるか後方で大変なことが起きていた。息子を乗せているモンタがとんでもない場所で餓鬼のように草をむさぼっている。
彼女がモンタの手綱を引っ張って軌道修正をしているすきに、私のナカがモンタとは反対の左方向に草を食べに行く。彼女はダッシュでこちらに戻ってきた。
こりゃあ根性出して、何とかナカの道草を食い止めなあかん!でないとこの人、大変なことになる。
私はつたない手綱さばきで道草阻止を試みたが、成功率は半分にも満たない。
そのあともナカとモンタは楽しそうに、ぴゅーって、同時に別々の方向へ横滑りするかのようにコースをはずれた。
あの優雅なサラブレッドたちも森に来たら、こんなふうにちょこまかするかなあ・・・・。
スタッフさんには申し訳ないけれど、ナカとモンタの動きがおかしくて、私は何度も爆笑した。
そして彼女は決して笑顔を絶やさない。走り回ってトレッキングのアシストをしながら、いろいろな解説をし、写真まで撮ってくれた。疲れなどみじんも感じさせない見事なダッシュである。彼女を見ていて、なんという体力だと、本気で尊敬した。
欲望まる出しの2人組ギャングは、時間差攻撃を使ったり、首を振ってフェイントかましたりと、巧みに小わざを仕掛けてきた。
しかし幸いにも息子がコツを掴み始めたらしく、途中からうまくコントロールしだしたので、モンタの横滑りワープは劇的に減った。さすが息子や。若い男は覚えが早いし、力もある。
2人組は何だかんだやらかしたが、結局は、私たちを落馬の恐怖にさらすことなく、ぴったしの時間で森のお散歩は終わった。スタッフさんはすごいプロだ。
そして2人組ギャングも実は三木ホーストレックの住み込み従業員として、トレッキング開始後すぐに馬なりにお客の乗馬レベルを把握して、それに合わせたもてなしをしてくれたんじゃないかなあ。
今日はかわいいギャングたち(というより、弥次喜多かな)に出会えた。
ありがとう。すごい楽しかったよ。

思い出した。ちょっと前のレッスンのときに先生が言ってたんだけど、お馬さんたちの普段のごはんは干し草ばかりで、それは人間のごはんでいうなら、干物のようなもの。そして道端に生えているナマの草は、人間にとっては、お刺身のようなものだそう。
そりゃあ、飛びつくわな。

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