Tさんのこと②

次の実習が卒前実習(今でいうところの統合実習)だったので
複数の患者さんを受け持ち、多忙な日々を送っていた

そんな中次のTさんの受け持ちの子に
「Tさん、スピーチカニューレ(つけたまま話ができる)つけ始めたんだよ」と聞き
会いに行くことにした

久しぶりの内科病棟のいつもの個室にTさんはいた
「Tさん」と声をかけると
「〇〇さんか?」としわがれた声がはっきり聞こえた

これがTさんの声なんだと思うとうれしくて、また私は「よかったねぇ」とボロボロ泣いた
「泣くな」と言ったTさんも困った顔して目が赤かった

私の実習終了のあともせん妄はおこしていないらしいと聞いた
本当に嬉しかった

そんなTさんとの関わりを後にケーススタディとして発表した




認定の講義で
「あなた達が1番始めに行なった看護研究や事例研究を思い出して下さい
それはきっとあなた達の看護観に繋がっているはずです」
と言われた時
一気にTさんの記憶が甦った

Tさん、何もできなかったあの頃の私に大きな贈り物をありがとうございます

「寄り添う」という言葉は簡単で容易ではないけど
そんな認定看護師になれるよう
私は今日も頑張ります
どっかから見てて下さい


私が受け持ち中、ずっと食べたがってたあんドーナツとみたらし団子買ってこれなくてごめんね
気管切開してると食べられないんだよでもそこは説明してもいつもスコッと抜けるんだよね(笑)


大好きな患者さんでした

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