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「何か」を考える――よのなか、まち、ひと  第6回


はじめに

 早速ですが、読者の皆様に質問です!

 「子育てしやすい町」ってどんな場所でしょうか?

  子ども・若者世代を対象とした教育プログラムの提供やキャリア形成を支援するみやっこベースでは、「子育てしやすい町ってどんな地域だろう?」と議論がおこなわれることがしばしばあります。先ほどの質問への回答は、その人の属性、たとえば性別や年代、子どもの年齢によって大きく異なるでしょう。また、子どもの立場からこの質問をとらえ直すと「わたしたちが暮らしやすい町って?」と言い換えることもできるでしょう。

 これらの問いへのひとつの道筋を示している自治体があります。それが兵庫県の明石市です。

 今回のnoteでは明石市の子育て支援施策について、同市のHPなどから読み解いていきたいと思います。

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 なお、本連載記事はNPO法人みやっこベースのnoteに掲載されておりますが、団体の総意ではなく筆者自身の個人的な見解ですので、ご了承の上お読みください。
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 兵庫県明石市は瀬戸内海に面した、人口304449人(2022年7月1日時点)、面積49.42㎢の中核市です。ちなみに宮古市は人口48029人(同時点)、面積1259.15㎢ということです。

 宮古市の方が25倍広いのに、人口は1/6しかいないということが分かります。

 この明石市の市長が泉房穂(いずみふさほ)さん(58)という方で、2011年に市長選に初当選し現在4期目を務めています。この数年はアベマプライムなどネットコンテンツで取り上げられ認知度が高まっていました。今年6月には参議院内閣委員会に参考人として招致されたことがニュースになったことも記憶に新しいと思います。

 それでは本題のさっそく、明石市の子育て支援施策について見ていきましょう!

①子どもの医療費無料!
 高校3年生までの医療費(薬代も含む)が無料
→中核市以上の都市で18歳までに掛かる医療費は平均で42万円と言われています。

出典:https://www.city.akashi.lg.jp/shise/koho/citysales/hikaku/index.html

②保育料無料!
 2人目から保育料が無料。明石市外の施設も対象で、兄弟の年齢制限も無く全員OK。

③おむつの無料提供!
 0歳児を対象に毎月3000円分のおむつを10回配達。親子の見守り訪問を併せて実施。

④給食も無料!
 中学校の給食を無料で提供。3年間で16万円相当。

⑤公共施設の使用料無料
 市内の科学館やプールなどの子ども使用料が無料で、施設によっては保護者も対象に。

 「無料化」されているものに限っても、上記のような5つが実施されています。(そのほかにも、特徴的な施策がさまざま実施されていますので、詳しくは参考資料をご覧ください)

 子育て世帯の経済的負担が大きく軽減されていることはお分かりいただけると思いますが、明石市の特徴は「保護者の収入制限」を設けていないという点です。

 多くの自治体で、子育て支援施策として無料化や割引などが実施されていますが、そこには「保護者の収入が〇〇万円以下」や「第1子・第2子で割引率が異なる」など制限が設けられていることが少なくありません。

 この点について、泉市長は「保護者に対して支援しているのではなく、『子ども』に支援している。経費は掛かるが、せこいお金の使い方をしてはいけない」と説明しています。

 子どもにかんする予算は、泉市政になってから2倍(126億円→258億円)になっているそうですが、①子育て世代とその子どもに当たる年齢層の人口が転入超過②出生率の全国平均1.42人を大きく上回る1.70人③9年連続で人口増加し過去最多を更新中で、という結果に表れています。

 また、人口増加にともない経済活動が活発化し、税収や基金残高が増えるなど財政の好循環が生まれていると言います。実際に明石市では駅周辺の新規店舗の出店が2.4倍になり、来訪者は1.7倍に上昇しました。

 泉市長が「子ども施策に力を入れれば町は発展する」と明言するとおり、子ども施策にお金をかけることが、結果的に地域経済へのプラスの影響が大きいことが分かりますね!

 明石市は大阪市や神戸市まで40分以内で通勤できるということで、ベットタウンとして発展してきました。宮古市は地理的な状況や周辺市町村との経済規模が異なりますので、明石市の施策やその結果と一概に比較することは難しいでしょう。

 ですが、少子化が深刻化している地方都市こそ、「子ども」に対して大胆な施策(財政出動)を展開することが現状を打開し、地域全体へ好循環を波及させていくきっかけになることを示唆していますね。

 このnoteをお読みいただいている読者に子どもさんがいる方もいらっしゃるでしょうし、みやっこベースのスタッフも子育て世代真っ只中です!

 われわれみやっこベースも子ども・若者を対象とした教育プログラムの提供やキャリア形成を支援するNPOとして、明石市の「子どもファースト」という理念や施策からは学ぶ部分も少なくありません。みやっこベースでは、今後も「みやこの子どもたち」が「よりよく育つ」環境づくりに取り組んでいきたいと思います!

出典:https://www.izumi-fusaho.com/


参考資料:
笑顔のタネあかし(明石市役所シティセールス課)
http://www.city.akashi.lg.jp/shise/koho/citysales/kosodate/index.html
泉房穂オフィシャルサイト
https://www.city.akashi.lg.jp/seisaku/shichou_shitsu/shise/shicho/documents/20220607sanngiin.pdf