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台風接近!漁船の備えを!

 こんにちは。三宅支庁水産担当です。
 今年もすでに台風シーズンを迎えています。
本州から約200㎞南の太平洋にある三宅島、御蔵島をはじめとする伊豆諸島の島々にとって、台風は時に大きな被害をもたらす脅威です。
 今回は台風接近時における漁船の備えについてお伝えしたいと思います。

普段見かける穏やかな錆ヶ浜と大型客船の岸壁です。
台風通過後しばらくたってからも余波により港の外は大荒れです。
※安全なところから望遠レンズで撮影しました。

 三宅島では、漁船の基地となる漁港が5ヶ所整備されています。なかでも島の南西に位置する阿古漁港は島にある最大の漁港で、多くの漁船が集まっています。近年では港の整備が進み、かなり大きな波も防ぐことができる安全な港になりました。しかし、台風の時などは、波長の長いうねりや強い風により海が港の方向に吹き寄せられるときに海水が川の流れのように港に流れ込んだ後、今度は港に溜まった海水が一斉に港の外に流れていくことを繰り返します。流れが速いと船が動かされ港に繋いでいるロープが緩んだり外れたりすると、船が岸壁や隣の船にぶつかって壊れるおそれがあります。
 
 このため、漁業者は台風前に普段より厳重に船を繋ぎます。作業は一斉に漁業者が集合して連携して行います。港の岸壁から対岸までロープをかけ、船を繋いだ方と後方の対岸の双方からロープで船を結び、船が岸壁にぶつかって壊れないようにします。また、大きな台風の場合は隣の漁船とぶつかり合わないようにあらかじめ隣同士くっつけてロープで固定します。

 やっと台風が通過して港の中が落ち着くと、漁業者が集合して一斉にロープをほどきます。
 漁船は家が一軒買えるほど高価なものであり、漁業者にとって大きな財産です。台風が接近するときには漁港の整備が進んだ今でも漁業者は緊張し、台風の勢力、コース等の情報とにらめっこが続きます。台風が島のどちら側をどのように通るかどうかで激しさの状況が大きく変わるからです。
 
 島では台風の接近前から通過後しばらくして海が穏やかになるまで操業できません。また、三宅島と浜松町の竹芝桟橋を結ぶ定期船が欠航してしまうと獲った魚を都内に出荷することもできなくなるので、漁業関係者をやきもきさせます。
 また、時には漁港に整備されている、水揚げした魚を保管する冷蔵施設や製氷施設などの漁業関係施設が被害を受けることもあります。台風通過後には漁協や役場の皆さん及び支庁職員で施設や漁船が被害を受けていないかどうかを確認します。

台風が来る前に縦横にロープを張って船を繋ぎます。 漁港の外は大荒れでも港が漁船を守ります。
漁船の船尾からロープを対岸と結びます。
張り巡らされたロープで港の中はクモの巣のようになります。

 今年もすでに台風シーズンとなっていますが、被害がないことをお祈りします。

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