日本を滅ぼす研究腐敗――不正が不正でなくなるとき(23) 4章 「奨学金問題対策全国会議」を訴える 2
奨学金問題対策全国会議(大内裕和代表)を相手どった訴訟は淡々と手続きが進んだ。それと並行して、全国会議と「一括請求」の関係について興味ぶかい事実が見えてきた。『週刊金曜日』に「日の丸闇金奨学金」という連載をはじめたのは2021年4月のことだ。不定期の連載だったが、15回を超えていた。大内氏からはもちろん、全国会議からもいっさいの反応はなかった。だが見知らぬ読者からの反応がくるようになっていた。
たとえば広島の男性Kさんだ。Kさんは腎臓の病気で思うように働けず、収入が乏しい。それにもかかわらず支援機構は期限の利益を喪失させて※一括請求してきた。
※債権者が分割払いを中止して全額請求すること
「支払能力のない一括請求は施行令違反ではないか」
裁判官にそう訴えた。裁判官は興味を示し、結果的に支援機構が訴えを取り下げる形で、事実上の勝訴となった。この記事を全国会議の役員らが知らないはずはなかったが、やはり反応はなかった。
一括請求問題に関心がないのか。そう思いかけたが、じつはちがうことがやがて判明する。東京地裁立川支部に一括請求に伴う債権回収裁判を起こされたCさんを取材したときのことだ。Cさんは、Kさんのときと同様に「支払能力を無視した一括請求は施行令違反であり無効である――」と主張したた。支援機構の反論は、私もCさんも予想だにしなかったものだった。
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