「記者クラブいらない訴訟」第6回口頭弁論 本人・証人尋問の準備はじまる

 鹿児島県知事の就任記者会見にフリージャーナリストが参加しようとしたところ、地元記者クラブ「青潮会」所属の新聞記者らが実力で妨害した事件をめぐり、筆者(三宅勝久)と寺澤有が共同通信記者2人と同社に対して損害賠償を求めた訴訟の第6回口頭弁論が1日、東京地裁526号法廷(民事42部、衣斐瑞穂=えび・みずほ=裁判長)で開かれた。原告側は、県知事の記者会見は公益性の高いものであり、憲法に照らしても差別されず参加する権利がある、といった主張を述べた準備書面を陳述した。

 衣斐裁判長は、双方の主張がほぼ出そろったのではないかとの考えのもとで、「主催」に関する原告の言い分について、
1県が主催、
2青潮会が主催(予備的主張として)、
3主催がどちらにあるかにかかわらず、県が説明責任を果たす場である記者会見に参加する権利がある(同)
 といった整理でよいか確認を求めた。たしかにまちがいではないが、やたら「主催」にこだわる衣斐裁判長の考え方に筆者は一抹の不安を覚えた。

 記者会見を「主催」するとはどういうことか明確な定義はない。「主催」という言葉にはあいまいさが多分に含まれている。会場や日時の設定、経費負担を記者側がすべて負う「主催」もあれば、会場や諸々の段取りはすべて県がやり、記者会見の進行だけ記者クラブがやる「主催」もある。少なくとも記者会見に関してみれば、「主催」という言葉は地方自治法にも県の条例・規則にも出てこない。「主催」という表現自体があいまいなのだから、記者クラブの「主催」ではない、ともいえるし、記者クラブが「主催」しているともいえる。

 衣斐裁判長は、もしかしたら「主催」という言葉の定義をする作業を置き去りにして、だれだれの「主催」だから〇〇である、といった雑駁な論旨に落とし込もうとしているのだろうか。筆者はそんなことを思った。だとすると注意が必要だ。
 
 次回第7回口頭弁論は、9月9日午後4時から東京地裁526号法廷で開かれる。本人・証人尋問の申請が双方からなされる予定。


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