極貧国際結婚、専業主婦の夜。そしてタイ人夫(半日の続き)

母と共に夫を親戚の家に迎えに行くと、夫とおじさんはまだ作業を終えてなかったので親戚のお宅に上がって待つことになった。母とおばさんがエンドレスでお喋りを続ける。お互いにお互いの話をあまり真剣に聞いていなくて、テーマだけを共有しながら自分の好きな事を話している模様。それでこの人たちは何十年も上手くやってきているのだ。

一方私は、ついつい話の論点や軸について考えてしまい、人の会話にも「いや、そういう事をこの人は言いたかったんじゃなくて・・」などと考えてしまって忙しい。私は英単語帳を取り出して英単語を暗記し始める。たまに母が「うちの娘は勉強が好きで好きで」と自慢げに話す。特に否定もしないが、自分で言うのもおかしいが決して自慢出来る娘ではないのは自分でも分かる。33にもなって車も運転出来ず70代の母親の運転する車に乗って夫を親戚の家に迎えにきて、本人は親戚とのお喋りにも参加せずに英単語を勉強しているのだから、なんとなく自分でもヤバいような気がする。

そして側から見ていて、母は話を聞かない上に少しデリカシーが無いなとも思う。おばさんに「このお菓子賞味期限は大丈夫だけどちょっと湿気ているの。ごめんね」とお菓子を出され母は「賞味期限なんか気にしたことないわ」と言いお菓子を食べ「湿気てはいるけど味は美味しいわ。けれど確かに湿気ているわ」と何故か湿気ている事を念押しした。ツッコミどころが満載だが終始その調子だからもう聞かない方に徹するのが心の平穏に繋がる。

私の方としては、言いにくい事ではあるけど、HSPテストをすると満点に近い高得点を叩き出す濃度の高いHSPで、生活するにもそこそこ支障は出ていると思うが、今は周りのサポートでのびのびというより、のうのうと暮らさせてもらい、何も言うことはない。感謝感謝。

そうこうして夫とおじさんの作業が終わった。夫はまた廃棄されそうになっているミントを袋に詰めて、そして家路に着いた。

車の中でも母はよく喋るが、あまり大切な事じゃない場合や心を掻き乱す内容の場合は聞き流すようにしているため、あまり覚えていない。素晴らしき能力が発達したものだ。

夫はアパートに戻り早速ミント達を、スタンバイしてあった鉢植えに植えて、それ以上のまだ可能性のある者達(根っことか茎とかの端っこなど)は水を張った入れ物の中に沈めた。この子たちが全員繁栄してくれたらなんと嬉しいことでしょう。ミントたちの処理をしている間夫のスマホ料金プランについて話し合った。今現在私たちは一つの回線を共同で使っている訳だけど夫が本格的に働きに行けば、当然一人一つ回線が必要なのだが、デーキール限り安く押さえたい。その上夫のタイから持ってきた携帯は特殊で格安simの対象外である事が多く携帯も一緒に買わなくてはならないので最安の携帯を買いたい。その一方でどうせ携帯をもう一個買うならいっそあいふぉんにしてしまおうかなんて過ったりもして大変悩ましく話し合ったが、結局の所、明日店に行って今ある一番安い端末にしようという結論に達した。

そしてその後夫はご飯を炊いて私がやり残した排水溝の掃除をしたり、ソムタムっぽい料理を作ったりして、その後母の持たせてくれたおかずと一緒に食べた。夫は「今日お腹の出たおじさんが『帰るわ』と言った時に何と返すべきか分からず『オツカレサマデチタ』(”し”の発音が苦手)と言ったらみんなが何か分からない事を言って笑っていた」と話した。それで良いと思うよ、と言っておいた。今の夫には兎にも角にも日本語を話してみるという経験を積み重ねる事が何よりも大切だ。

夕飯を食べた後夫はギターを弾き始める。ロックだったりタイ、イサーン地方の伝統的な音楽だったり。私は退屈に思ったりする。退屈だと言ってしまうこともある。夫はお片づけはあまり得意ではない。なんにもしない妻だからこれくらいはやらないとと重い腰を上げて片付けをする。そして面倒だけど人間としてやった方が良いような事(化粧を落とすとか)をやってまたいつもの座椅子に戻って、YouTubeで楽しみにしていた”デニスの怖いYouTube”を見る。心霊系の番組が好きで怖くて直視出来ないのに見てしまう。この番組は、怖さが丁度良いのだ。その後は少しは勉強をしよう。

今日も幸せな1日だった。

明日のミントさんたちを見るのが楽しみ。

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