幸せな雨の日
本日は夫のお仕事が雨でお休み。
のんびり起きて二人で家の掃除をしたり、軽く模様替えをして、その後二人で自転車に乗って近所のスーパーやお肉屋さんに買い出しに行き、
帰ってきたら夫がカレーを作ってくれた。
カレーを食べ終わってからは、夫がおもむろにギターを取り出したので、私もギターに触ることにした。
少し前まで弾きたいなんて全く思っていなかったギター。夫が毎日毎日飽きもせずギターを弾くのを横目に、触ることもしなかった3年間。それがつい数週間前、それもまた雨の休日、夫が弾く音色を聴いて私は、
「今日の天気に合ってる曲だね」と声をかけた。夫は、
「うん、雨の日に考えついたコードなんだ」
と答えた。
私は、雰囲気やその気持ち、空気に同調して音楽を奏でられることに妙に感動してしまい、夫に
「私も練習したら出来るかな?」と聞いたら夫は嬉しそうに
「出来るさ」と言ってギターを手渡し、
「まずはコードとか気にせず慣れることが大事だよ」と言ってくれたが、
私からしてみたら、ジャーンと弾いてもあまり綺麗な音は出ないし慣れるって何?という風に感じたところ、夫が運指運動のやり方を教えてくれた。
意外なことに、私はその、ものすごく単純なギターの運指運動をするのをそれなりに気に入った。ものすごく単純な動きだけど少しずつ早く動けるようになったり、かと思えば気を抜けばすぐ失敗するので、集中しなくてはならず、精神を集中させて静かな気持ちにさせてくれた。そんなこんなで二週間ほどたった。
今日も夫の隣で運指運動をしていたところ、夫はニヤリと笑いながら、
ジャーン、ジャーン、ジャーンと3種類の音を弾いた。
私はそれだけで歓喜した。3回のジャーンではっきりと分かる。それは私の大好きなThe birthdayというバンドの「涙がこぼれそう」という曲のライブバージョンの冒頭なのだ。粗野なのに優しい、悲しくて美しい夜の匂いがして私は本当にこの曲が好きでたまらないのだ。
そして夫はその3つ音の指の押さえ方を教えてくれた。全くの初心者の私にはたった3つでも指がつりそうに痛くなったが、それでも、自分自身があの美しい音を奏でているのだと思うと最高に嬉しい。
雨で薄暗い部屋で二人でギターの練習をする今日は本当に幸せで、出来るだけこの気持ちが体に染み渡るように深呼吸をする。