001|ドリルドライバーとインパクトドライバー| #DIYとか工作とか #展示技術講座
こんにちは、普段は美術館などで展覧会の技術的な仕事をしている宮路です。色々な大学でちょっとした講座なんかもやってます。講座用の教材として、なおかつDIYerにも使えるちょっとした記事を書いていきます。工具や材料、方法や基礎知識なんかについて書いていこうと思います。
本記事を何かのワークショップや授業でお使いになりたい方はご自由に(出典、URLの共有お願いいたします)。
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もし何か補足や間違いなどあれば教えていただけると嬉しいです。多くの人の参考になりやすい記事を目指して書いていきますのでよろしくお願いいたします。
(後日、それほど重要でない画像を数点追加します)
最初に買うべき電動工具は?
大学で教えていると良くある質問があります。「最初に買う電動工具は何がいいですか?」という質問です。はっきり言って、この質問に答えはないと思います。ただ、自分のおすすめを語ることはできるので語ってみようと思います。
たいていの人はインパクトドライバーかドリルドライバーで迷っています。見た目も似ていますし、同じような作業ができそうにも見えます。そして、二つの工具のうち「どちらを買うべきか?」がよく語られます。
それでは僕のおすすめを結論からお伝えします。
両方買うのがおすすめです!
結論としては、インパクトドライバーとドリルドライバーの両方買うのがおすすめです。2つの工具は形状が似ていますが全く違う工具です(画像には3つ写ってますがスルーしてください)。
なぜ両方買ったほうが良いかというと、2つを使い分けて違いを実感して欲しいからです。それぞれの特性や使用感を実際の作業で比較してみて欲しいのです。比較してみることで、「やはり両方必要だったな」感がますのではないかな?と思います。
(作業内容が明確に決まっている場合は片方のみで十分だったなと思うかもしれません。しかし、この記事は色んなものを作ってみたいDIYerや美大生向けの記事ですのでご理解ご協力お願いいたします)
また、美大生もDIYerのかたも今後たくさんの電動工具を購入していくと思います。たくさんの工具を使い分けるスキルが必要です。木を切る作業は丸ノコでもジグソーでもどちらでもできます。両方が目の前にあった時、作業に合わせた道具選択スキルが必要です。初歩としてドリルとインパクトは良い2台かなと思います。
理解するための基礎知識
この記事をスムーズに読み進めるために、トルクとビットという2つの言葉を紹介します。
簡単なほうから説明すると、ビットとはドリルドライバーやインパクトドライバーにつける先端の部分のことです。例えば、ネジやボルトを回すためのビットには以下のようなものがあります。
木材に穴を開けるためのビットとしては以下のようのものがあります。選ぶポイントとしては1番右のドリルビットのように1つの鉄の塊からできてるものが強いです。ドリル部分と根本が別材料で接着剤てくっつけてあるようなものはオススメしません。
次にトルクです。トルクとは回す力や回転力のことを指します。例えば、ドアのノブを回す時や自転車のペダルを踏む時に回転させる力を使っています。トルクの強さは加える力の強さと、力を加えるポイントの中心からの距離できまります。
それではそれぞれの工具の説明をしていきます。
ドリルドライバーとはこういうものです
多くのドリルドライバーはチャックと言われる手で締め込む機構でビットを固定します。チャックは3つの爪のような金属でビットを締め込む機構なので、ビットの形が丸くても6角形でも固定できます。
クラッチは、作業時のトルクの調整を可能にします。つまり、弱い力で回すこともできるわけです。トルク調整はドリルドライバーの頭にある数字の書いてあるリングを回すことで調整できます。1が弱く数字が大きくなるほど強くなります。ドリルの絵のマークはクラッチ無しを意味増します。
注意事項として、ドリルドライバーはインパクトドライバーより種類が多く、トルクはヘッドの大きさやバッテリの電圧などできまります。ちなみに、小さい方のビットの固定方式はスリーブといいます。明確な目的が無いのであれば真ん中くらいの大きさのが良いと思います。
ドリルドライバーの得意なことや苦手なこと
ドリルドライバーはドリルとドライバーの両方の作業が得意です。
次に説明するインパクトと違い、スムーズに回転してくれるため穴あけ作業が得意です。繰り返しになりますが、トルクはヘッドの大きさに依存します。大きな穴をあけたり、硬い材料に穴をあけるには大きなドリルドライバーが必要です。
チャックは色々なビットが固定できるほか、針金を挟んでネジネジしたりもできます。針金をねじる以外にも色々なものを挟んで回転させれます。危険な使い方もできてしまうのでビット以外のものを回すのは作業に慣れて安全性を自己判断できるようになってからが挑戦するのがオススメです。
ドリルドライバーはクラッチ機構を使い弱い力で回転させられるのが非常に良いなとおもっています。アクリルやプラ製品への穴あけやねじ止めなどの繊細な作業が得意です。機械や家具などの組み上げの時に活躍しますね。
(特に機材類。モニターやプロジェクターなどの機材にはインパクトは絶対に使わずに低トルクな工具(電ドラボールや手締めも可)で作業を行なってください)
ちょっと変わった視点では、ドリルドライバーはインパクトと違って音が静かなのも良いところです。深夜の作業や会議室の隣で作業しなくてはいけない時などにも活躍します。
インパクトドライバーって結局なんなの?
インパクトドライバーはラフだけどパワーがある道具というイメージです。繊細な作業には向かないし、ビットを固定する機構もスリーブですので特定のビットしか利用できません。それでもなお、インパクトは木工系DIYには必須の道具と言えます。
インパクトドライバーは電動工具メーカーのBlack & Deckerが1960年代に開発されたそうです。特徴はとにかくトルクの強さです。同程度の大きさであれば、ドリルドライバーの3倍くらいは回す力が強いと思ってもらって良いかもです。
トルクは回転方向に打撃(インパクト)することによって増大させています。勘違いしてはいけないところで、つついているわけでは無いということです。ネジを回す(ねじる)方向にのみ力を増大させています(つつく機構としては振動ドリルやハンマードリルがありますので後日記事にします)。
参考として、どのようにして高い回転力(トルク)をだしているのか動画をはっておきます。
インパクトドライバーの得意なことや苦手なこと
得意な作業は木材のビス留めです。大工さんはインパクトドライバーしかもってない人もいるくらい木工と相性が良いなと思います(ドリルドライバーだとビスをなめる、つまりダメにする確率がすごく高くなります)。
単管クランプなんかを固定する作業も得意ですね(クランプのネジは普通のネジより荒いのでかじりにくい)。ごつめのフレームを組み立てる時の12~19くらいのソケットで回すボルト類には強いと思います。ただし、20mmを超えるとソケットがぽきぽき折れますね。トルクの強さにソケットが耐えられないんです。
インパクトドライバーの派生工具として、インパクトレンチというのがあります。回転軸の細い部分を無くすことで、より高トルクな作業を可能にしています。余談でした。
苦手な作業は、回転数のいる作業や、弱い力が必要な繊細な作業です。
インパクト直前は回転が止まっている時間があるため、実際に回転している回転数は少なかったりします。穴をあける作業は、やはりドリルドライバーに軍配があがります。
アクリルにタップを切るといった超繊細な作業なんかはインパクトでは難しいと思います。アクリルやプラ系の割れやすい粗材はインパクトは苦手ですね。
音が大きいので深夜の作業も苦手だったりしますね。音に関しては解決策が無くも無いです。トルクはかなり落ちますが、静穏タイプのものもあるので、近所が気になるDIYerの方はこちらのが良いかも。
まとめ
このシリーズの記事は、あくまでおすすめです。最終的には自分で実感したり考えたりすることが大事だと思います。そのためにも、まず2台買ってみて違いを実感して考えてみてはいかがでしょうか?
また、ドリルドライバーとインパクトドライバーは家に1セット持っていても無駄にはならないなと思います。
固い材料を使いたかったり、大きな穴をあけたい場合は18v以上の工具がオススメです(14.4vという規格はそのうち無くなると思います)。
小さく始めたい人へのオススメは10.8Vのコンボキットなのですが、マキタさんもハイコーキさんも廃盤になっています……復活しないですかね〜?
関連記事として「10.8V工具のすすめ」という記事を貼っておきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
サポートされると、自分も他の人をサポートしてみようかな?という気になります。また、自分の文章の価値を感じれてとても嬉しい気持ちになります。