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飽きるから、人は成長する。

最近は趣味のポートレートが熱い。今月もなんだかんだで6名に写真を撮らせてもらったし、今年だけでも40回くらいはポートレートをしているみたい。

そして、ポートレート用に新しいレンズをヤフオクで落とした。新しいというか古いというか、カールツァイスイエナの「Flektogon 35mm F2.8」という単焦点のオールドレンズ。僕のカメラではこれで標準画角なので、活躍の機会が増えることだと思う。

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今回、新しいレンズを購入したのには理由がある。今メインで使っているレンズに飽きてしまったからである。

僕の今のメインのレンズは、「Lズーム」である。正確にはEF24-70mmF2.8Lで、元々仕事でMV撮影用に中古で購入したレンズ。そして、せっかくだからポートレートでこのレンズを使ってみようと思い、今年の3月から使い始めた。

最初こそ単焦点からの移行で慣れなかったが、慣れてからはとても心地よく撮影ができた。単焦点はズームができないが、このレンズはズーム可能で、すぐに思い通りの画角が作れる。単純に、同じ場所で撮れる枚数が跳ね上がり、僕の撮影枚数は1.5倍になった。画質もとても良好だった。

今まで単焦点をガチャガチャと取り替えていたこととはと比べると、リングを回すだけで焦点距離が変えられるというのは実に快適だった。さらに写りも優等生で、しばらくこのLズームでずっと写真を撮り続けていた。

ただ、半年も経たずに、僕はLズームに飽きていた。簡単に優等生な写真が撮れてしまうことが、つまらないと思うようになった。楽しいはずのポートレート撮影が、自分の中で「作業」に変わっていくのを肌で感じていた。

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少し前の話になるが、僕は第二のビジネスとして「オールドレンズの分解清掃・転売」をしようと思っていた。結局は4本くらいしか整備しなかったが、僕の手元にはオールドレンズが残った。

既に売る気力はなかったので、「せっかくだから自分で付けて遊ぶか」と、オールドレンズの「Jupiter-8」をポートレート現場に持っていった。するとどうだろう、今まで味わったことのないレトロな描写に、僕は一瞬で魅せられてしまった。

オールドレンズはオートフォーカスが効かないため、撮影の前に自分でピントを合わせないといけない。もちろん単焦点だから、画角も変えられない。でも、そういう面倒くささが、「作業」ではなく「写真にたどり着くためのプロセス」だと感じることができた。

そして、このオールドレンズを使った写真は、僕の作風にものすごく影響を与えている。今までの、「女の子を可愛く撮りたい」という想い以上に、「自分の作品を作りたい」と思うようになった。これは、僕の中での、写真撮影というものに対する意識が変わった瞬間になった。

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飽きが来るというのは、「飽きるまでやった」ことの裏返しである。そして、何かしら手詰まりというか、これ以上の変化、クオリティアップが見込めない時に、飽きるのだと思う。

でも、その「飽き」が、何かのキッカケで解消したとき、それは新しい何かが起こった時なんだと思う。新しい道具、手法、人とであったりして、「これ、面白そう!」というものに出会えれば、「飽き」が解消し、更によいものが作れるようになる。これが成長だと思う。

もし、飽きることがなければ、ずっと今の作業を繰り返すだけ。そうなると、同じことを繰り返す、単調な毎日が続くだけだ。

人はきっと、飽きるから、成長できるんだ。

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