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沖縄問題を本土の人たちに理解してもらうために必要なこと(1)

沖縄問題を本土の人たちに理解してもらうために必要なこと


 ヘイトスピーチが社会問題になってかなり年月がたしました。沖縄に対するヘイトに関して、沖縄の新聞は一昨年あたりからかなり力をいれて報道しているようです。

その趣旨は、沖縄県民と本土との溝は深まるばかりで嘆かわしい。沖縄はもっと自己主張をして本土の人たちの沖縄への誤解を解くべく努力しなければならないというものです。

 沖縄タイムス社からは、『これってホント!? 誤解だらけの沖縄基地』という書籍が出版されています。また、沖縄県も米軍基地問題に関するQ&A形式のパンフレットを作成しました。
いずれも、本土において、沖縄に対する誤った情報や根拠のない中傷が広がっており、基地問題の解決を遠ざけているという認識からのものです。

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 ネットを見ると、確かに明らかに誤解に基づいた沖縄ヘイト、沖縄パッシングが最近増加しているように思えます。

「事実に基づいて議論する」ということは基本中の基本であるから、事実関係をひとつひとつ丁寧に明示していこうとする沖縄県や新聞社の行為は評価されるべきでしょう。

 しかし、なぜこのような状況を招いたのでしょうか。

私が気になるのは、これまでの沖縄県の広報のあり方や新聞報道の内容や方法にも要因があったのではないか、という反省的な視点はほとんど見られないことです。

このような状況になることは、既に私が10年も前から指摘し憂えていたことですが、残念なことにいわゆる「沖縄側」の主張は相も変わらず、「沖縄が歴史上そして現在も如何に苦難を強いられてきたのか」の一点張りなのです。

「理解してもらう」ためには自らが信じる「事実」や「正義」を振りかざすだけではなく、工夫が必要です。そしてその前に、事実認識に対する態度をより厳格にしていく努力が求められます。

例えば、事実認識に関することで最も気になるのは、相変わらず、「識者」が沖縄の本土復帰を否定的に解釈しようとしていることです。

 ある大学教授は、「「沖縄が望んだから『復帰』できたと思う人が多いが、そうではない。日本政府が復帰は必要だと判断したから実現した」と沖縄の新聞にコメントしていました。

もちろん、沖縄の日本復帰が実現できたのは、日米両政府の様々な思惑と駆け引きのなかで、それぞれの政府の判断があったからです。

しかし、それは国家間の問題として当然のことであって、今更指摘する必要もないことではないでしょうか。敢えてこのような表現をするところに、「復帰はさせられたものである」という印象をあたえようとする「識者」の意図が表れていると私は思います。

 日米の政府に「復帰は必要だと判断」させたのは明らかに沖縄県民です。

もし「復帰運動」があれほどに強烈に盛り上がらなければ、両政府は「現状維持」を選択したでしょう。
生命の安全を保障された下での現在の基地反対運動とは異なり、当時の復帰運動はまさに命がけでした。米兵に拳銃を突き付けられた中での当時のデモの映像を見ると我々の先輩たちがどれだけ必死であったのかがよく理解できます。

そんな、命がけの復帰運動が、日米両政府を動かしたのです。

(つづく)

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