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『僕の胸でおやすみ』 /かぐや姫(昭和歌謡曲)
フォークソングが大好きな母の影響で、私は物心つく前から昭和歌謡曲を聴いていた。
「誰が歌っていたか? えっと‥かぐや姫!」
リアルタイムで聴いたものではないから、私にはその程度の知識しかない。しかし少女時代の辛かった時、哀しかった時、想い出の中に、かぐや姫の曲が染みつく。
そんな私も大人になり、母となり、子育ても終えた今、自分の第2の青春を考える歳となった。
そして、懐かしい『かぐや姫』を再び聞くようになり、かぐや姫ファンのグループにも所属するようになった。しかし、リアルタイムで親しんでいた人々とのやり取りには知らない単語も多い。
一回りちょっと上の、兄と慕う人物にちょくちょく質問を持ちかける。彼もまた、かぐや姫に親しみを持っている。(かぐや姫世代より年齢は下ですが詳しい)
「私、パンダさんが分からなくて」
「 山田パンダ??僕の胸でおやすみ、とか好き。」
アコースティックギターにつける「カポ」すら知らなかった私は、パンダなるものを楽器の一種と考えていた。
「風 と かぐや姫 って、同じなんでしょ?」
「それは、チューリップとオフコースを一緒くたにするようなものだ(笑)」
知らないって怖いね。と、別の兄にも笑われてしまった。
とは言え、兄さんの好きな「僕の胸でおやすみ」を、私はソラで歌えるくらい聞き込んでいる。
歌いたい!と伝えたら、兄さんはアコギで弾いた音をデータで送ってくれた。
♪ 君の~笑顔のぉ~向うにあるぅ~悲しみはぁ~♬
私は、小学生の頃の「私」を思い出す。
当時の私には、父との思い出がほとんど無い。両親は物心ついたころから大変な不仲だった。
「父の日に向けて、お父さんに手紙と絵を描きましょう!」
小学2年の時、授業で父への手紙を無理やり書かされた。帰っても渡す相手など居らず、家に居る母にこの手紙を見せてしまえば、また激情することは分かり切っている。子ども心に察することは多々あった。
私は、授業で作らされた父あての「作品」を、自宅近くのゴミ置き場に形を無くすまでビリビリに破って捨てた。
私は、自分を鼓舞するためだけでなく、母を慰めるために、これほど昭和歌謡を覚えていたのだと悟った。
その頃に聞いたこの『僕の胸でおやすみ』が、私は好きになれなかった。
♪ 僕のぉ~届かないぃ~ところに~あ~る~ものなのか~♬
大人たちには決して届かない悲しみ、やり切れない気持ち。この歌の、人に対する思いやりが、少女の私にはひどく辛く思えた。
そして、○○年。(ご想像にお任せします)
「山田パンダさん」をキッカケに、久しぶりに聴いてみた。
私は相変わらず人と馴染めず、思い悩む日は多い。けれど、笑顔の裏にある悲しみを包んでくれる人達も周りに居てくれる。
♪ 古いぃ~ コートはぁ~捨てってぇ~♬
「父性」に憧れていたあの頃。
古いコト=過去の辛い出来事を捨て、、音楽で皆と歩んでいけたら良いな、と思う。
声のないこの曲を聴いていたら、止めどなく涙が溢れ出た。
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