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つくだにやさんになるのもいいかもしれない。ヨシタケシンスケ展かもしれない。
メモが作品になるんだ。
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こんなにたくさん集まったら。
メモするって大事、という説得力。
「ヨシタケシンスケ展かもしれない」神奈川会場で、最初に展示されていた膨大なメモ。
近づいて読むと、一つ一つのメモやアイデアが全部、わあ!おお!というレベルという訳ではない。でも、あの作品たちを生み出すには、あれだけのメモが必要なのだ。
私も、メモ帳を持ち歩きたい、と、わかりやすく影響されて思った。
誰にも見せない形というのがいいのかもしれない。SNSに載せたりしていると、いいね数とかに一喜一憂してしまうかもしれない。
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何度も何度も息子と読んだ本「もうぬげない」。アイデアスケッチや本の設計図は、できあがったものとかなり違っていた。何度も何度も読んだ本だからすぐにわかる。めちゃくちゃいろいろ考えて、直して、を経て完成に至っているのだ。自分も、それを。
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「「できないこと」は役に立つのかもしれない」
私に一番刺さったのは、最後の方の展示にあったこの言葉かもしれない。「絵本作家」になってからのヨシタケさんのつぶやき。
私のできないことは、役に立つかな?
いや、よく考えたら私も、高3の担任の先生の言葉から、こんなことを考えてずっと生きてきたかもしれない。
自分は弱くて、だめで、でもだからこそ、他の人の弱い部分もわかって好きになれるだろうって、その一筋の光は、今に至るまで消えずにいてくれた。
ヨシタケさんの言葉を見て、その光は今ちょっと強さを増した、気がする。
私のマイナス思考を突き詰めたら、役に立つかな。
わからないけれど、めちゃくちゃいろいろ考えて、直して、をやらないことにはわからない、ということだけはわかる。
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本当は子どもと一緒に来たくて、何度も誘っていたけれど、断られ続けて、諦めきれずに一人で行った。
子どもと一緒でも楽しめたと思うし、それでも気付きがあったと思うけれど、一人だからこその経験にするしかなく。
最後にカードを1枚引くことができた。「あなたのみらいはこれかもしれない!でも、ぜんぜんちがうかもしれない!」のカード。
私が引いたのは「メチャクチャおいしいつくだにやさん」だった。
いいなあ。それも。そんな風になれたらいいなあ。メイン料理じゃないけど、あると食卓が豊かになって、日持ちがして、飽きなくて。ニコニコしていて、一つのことを追求していて。
自分のお守りをきめて、それを守るようにすれば生きていける、というようなことが、会場のどこかに書かれていた。
このカードも、お守りになる。ちょうどいい大きさと厚さだ。無料なのに、ものすごく考えられた、価値あるお土産。
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ところでこの文章にも何度も「かもしれない」が出てくるけれど、わざと入れた訳ではない。下書きを見返して、いつもなら「かもしれない」が多すぎるからここは変えよう、とするところを、変えずにおいてみたくらい。
断定できない優柔不断さを、ずっと注意されてきた。でも、それをいい方に使えることも、あってほしい。