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初めての保育園。【ひねくれ育児日記】

先生に抱っこされて保育園の玄関にやってきた息子は、泣くのを堪えたような顔をしていた。それを見て、私も涙がずるっと落ちそうになった。

自分の次のキャリアを考えて少しずつ動き出し、その過程で私が出かけることになった。一時預かり保育の登録をしていた保育園に問い合わせ、空きのある日を聞き、その日に組んでもらえるよう先方にお願いしたところ、運よく叶った。
ちなみにその保育園は、育休延長が決まった時点で、周辺で唯一、一時預かりを受け付けていたところだ。自宅から電車と徒歩を合わせて30分以上かかる。ベビーカーを保育園に置いておけないので、抱っこ紐で行くしかない。

その日の朝、雨がぱらついていた。保育園に着いて、教室で先生に教えてもらって着替えなどをセットする。「じゃあママにいってらっしゃいしようか、いってらっしゃ〜い」と先生。私がバイバイしても、息子はきょとんとした顔をしていた。そのまま息子は先生に抱っこされ、私に背を向けて教室の奥へと入っていった。

1歳3か月で初めて保育園に預けることに、あまり抵抗はなかった。息子と離れている間も、自分の用事のことで頭が忙しかった。息子はどうしているかなと時折考えても、それほどそわそわとはしなかった。でもお迎えに行って息子の顔を見ると、想定していなかったほどの感情が溢れた。

息子を抱っこして先生のお話を聞く。
・ふとしたときに泣くということもありましたけど、泣いていない時間帯もありました。
・ボールプールを出したら喜んでボールを掴んで投げていました。
・ご飯は喜んで食べていました。
・お昼寝はおんぶだったんですけど、15分くらいしか寝られなくて。帰り道で寝ちゃうかもしれないですね。
・乗り物の音が出る絵本があって、それで喜んで遊んでいました。
・好きなものがたくさんあってよかったね。
服は一度着替えたようだった。朝、着替え1組分を出しやすくまとめておいたのだが、焦って上下紺色にしていたことに気付いた。

話が一段落して、帰るために抱っこ紐を出そうとすると先生が「その間私が」と、息子を抱っこしてくれた。途端に息子が大泣きし始めた。先生が「わかるよ〜」と言いながらなだめてくれる。大急ぎで抱っこ紐を準備すると、先生が「がんばりました!」と、息子に手を振って見送ってくれた。

保育園を出て、小雨の中を歩きながら、私の涙が溢れた。1歳3か月の子が、知っている人の誰もいないところで、いきなり6時間も。緊張したと思う。自分が同じ状況に置かれたと想像するだけでも、それがどれだけ大変なことか推し量れる。ずっと泣いていたのだろうと想像すると、また泣ける。「がんばったね、ありがとうね」と、歩きながら何度も話しかけた。息子はしばらく何も言わず、私と目も合わせなかったけれど、途中で「んー!」と言って前方を指差した。室外機だった。

帰り道でも寝ず、家に帰って授乳しても寝なかった。興奮していたのだろうか。夕食もしっかり食べたが、風呂を沸かしている途中でとうとう寝てしまった。

息子の人生に、私も夫も知らない時間ができた。息子にしっかり関わって、可愛がってくださる人が他にできたことが嬉しかった。

家で親に甘えるだけじゃなくて、たくましく育ってほしい。一人で抱え込まないで、人に甘えられる人になってほしい。矛盾しているようだけれど、たくさんの人の中で、多様性に触れながら育ってほしいということなのだと思う。小さい頃からそうだったら、それが当たり前に感じられるかもしれない。
実は私も夫も、自分の子どもの頃はそういう環境になかった。憧れを息子に託すなんて、うまくいくのか分からないけれど。

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