23.10.21 vs 柏レイソル

人で変わるボールの循環


J1リーグは約1カ月の中断。その間にレッズは、ACLでハノイ相手に6-0(10月4日)。ルヴァン杯でマリノス相手に、1st(10月11日)は0-1で負けましたが、2nd(10月15日)を2-0で勝ち切り、11月4日に聖地国立で行われる決勝へと駒を進めました。
天皇杯は落としてしまいましたが、J1リーグとルヴァン杯とACLとクラブW杯とまだまだ試合詰めなレッズ。J1に関して言えば、1位と勝ち点差8の3位に位置付けての残り5試合。上位対決も残されているので一つも落とせません。

スタメン

浦和は、代表から帰ってきた敦樹が岩尾とボランチを組み、右SHには大久保が怪我から復帰。トップ下と左は、セオリー通りの小泉トップ下、関根左ではなく、逆の配置。前半早々に関根が怪我で高橋と交代してしまったので、あまり効果を感じられず。トップにはカンテが出場停止中なので、興梠が入りました。
柏は、浦和から期限付き移籍中の犬飼が出場できず、マテウス・サヴィオもベンチ外でした。

浦和ボール保持時の狙い

前半からボール支配率62%とボールを保持する展開だった浦和。
今までは、相手の守備陣形が4-4-2の場合(例えばセレッソ大阪やガンバ大阪)、浦和はショルツとホイブラーデン+岩尾の2-1で最初のビルドアップを始め、2トップの脇を使いますが、今回は岩尾が最終ラインに降りて、敦樹がアンカーのポジションになる3-1の形。その先の5-1は柏の2列目の背後に位置を取り、ショルツやホイブラーデンから一発で2列目を越えてボールを受け、一気にチャンスになるようなシーンを作りたい浦和。

実際、ショルツから酒井へ柏の2列目の山田を越えて、そこから一気にゴール前へ流すシーンは前半で2回ありました。
2:17では惜しくも興梠へは繋がらず。15:20では大久保へと繋がりましたが、その後のクロスが合わず。恐らく今回浦和の狙いであったシーンを2回も作れたので、決め切りたかった所ではありました。

逆に左サイドではホイブラーデンから外に開いた小泉へのパスをカットされるシーンがありました。この時は、荻原と小泉のポジションチェンジで戸嶋と土屋のマークを迷わせようとしましたが、はっきりと戸嶋が荻原を塞いだ為、土屋の狙いがはっきりしました。

柏ボール保持時の狙い

柏のボール保持時の狙いでは、4-4-2から左SBのジエゴを高い位置に置き、3-2-5の形でビルドアップ。大きくサイドチェンジして、浦和のSBに対し、2vs1を作って崩したい意図が合ったように思えます。
19:20では、浦和の狙い通り2トップが外に追いやり、SHから一つずつ前からはめていこうとしますが、小泉のプレスに合わせて、椎橋と戸嶋がパスコースを作りに行きます。敦樹が椎橋、荻原が戸嶋とついていきたいところですが、2トップの小屋松が降りて顔を出しに来る&山田が荻原の裏を取りに行ったので敦樹が前へ出れず、椎橋へ。逆サイドまで展開されることはありませんでしたが、なかなか浦和にとっては嫌な場所でボールを受けられました。

『トップ下』の人選

20分ごろからトップ下高橋と右SH小泉のポジションを変更しました。
スコルジャ監督は『ビルドアップが上手くいっていない。小泉がいいポジションをとれない』為と話しています。
トップ下が高橋でも小泉でもどちらも良さはあります。
まず最初に、
①トップ下が高橋の場合
高橋はもともとJ2熊本時代では1トップの選手でした。なので、裏へ抜ける事は他の2列目の選手よりも高い質を持っています。さらに身体の大きさを活かしたポストプレーも出来ます。なので、興梠とセットだと二人で『裏と手前』を使うことが出来ます。
①´同時に小泉が左SH
小泉が左SHだと、間で受けた際、ボールキープ能力の質があるので、荻原のあがりを待ったり、中央で崩す選択をしたりと『タメ』を作れます。

②トップ下が小泉の場合。
小泉が中盤にいるなら、まず、小泉がボランチらへんまで落ちることで、ビルドアップを安定させることが出来ます。実際、出し入れの回数が多くなり、相手のラインを押し下げることが出来ました。
次に、小泉が落ちることで、敦樹を上げることが出来ます。そうなれば、浦和の最強右サイドトリオ、酒井&敦樹&大久保の3人で右サイドを攻略することが出来ます。
②´同時に高橋が左SH
右サイドの酒井からのクロスを、大外からペナルティエリアに侵入することができ、ペナルティエリアの中の人数を確保できます。ですが、この試合は、酒井がクロスを上げるシーンはそもそも生まれませんでした。
一方左サイドの崩しはあまりなくなり、荻原がボールを持った際は、高橋はスルスルっとペナルティエリアに侵入しました。その代わりに岩尾がサイドに流れ、荻原と崩すシーンもありました。

そして後半に入って、興梠→安居にチェンジ。
高橋が1トップで、安居がトップ下。小泉は再度、左SHになりました。
本日3人目のトップ下となったわけですが、彼も『らしさ』を出せていました。
③トップ下が安居の場合
安居の場合は、ボランチの位置まで下がる事はあまり見られず、theトップ下。リンクマンのような位置を保ちます。ただ、縦パスを受けてどうにかする(時間を作ったり、展開したり)というよりは、サイドに流れて攻略の手助けをすることが多かった印象。
51分では、酒井・大久保・敦樹に+して安居が入ることで、敦樹から大久保へのスルーパスが出せました。

そして52分。
酒井→大久保から、敦樹へとつなぐかと思いきや、ペナルティエリア内に侵入したのは安居でした。
これも安居の特徴で、元々ボランチの選手ですが、裏への抜けだしを積極的に見せます。その後安居のシュートをGKに弾かれますが、小泉が詰め、先制点。

そして57分。
浦和が最初から狙っていた『2列目を越えるパス』を外からではなく、中に敦樹→大久保と差し込み、大久保のドリブル開始。小泉へとつなげ、荻原のスーパーなシュート炸裂。やっと見れましたね。

最後に

今節はしっかりとボールを保持する時間を長くし、相手の2列目の背後へボールを流し続けるという攻撃を止めずに90分を過ごしました。
その中で特に興味深かったのは、トップ下の人選でした。
(関根)→高橋→小泉→安居と、複数人が交代で担いました。人が変わればボールの循環、人の循環が変わり、多くのパターンで攻撃を繰り出せます。
そういう意味でも柏の選手たちを混乱させることが出来たのではないのでしょうか。
そして、今シーズンなかなか得点機会に恵まれなかった2人からゴールが生まれたことも非常に良かったです。
ラスト4試合。全勝へ。

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