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フルートカフェ第二回 「フルート音が生まれる仕組み」

フルートファンの皆様、こんにちは ♪ フルートの事、音楽の事を様々な角度から探求するシリーズ「フルートカフェ」へようこそ。生命の息吹を伝えるフルートの音色と共に、無意識の世界に広がる壮大な冒険へ一緒に参りましょう!

このシリーズはスタンドFMとYoutubeと両方でも配信しています。

▶️ スタンドFM

前回、フルートの原点である「風と筒状の何か」の出会いについてお話ししました。私たちの身体から生まれ出た「呼吸」が、初めて身体の外の「筒状の物体」と出会う事で発生する「音」。これが世界各地に存在する、竹、草、石、土、木、骨 様々な素材で構成される笛の原点です。

自分の身体と、外の世界の初めての接点に「音」が発生する所がフルートの面白い所ですが、ここまでは、他の管楽器、たとえばトランペットやトロンボーンなどの金管楽器や、サックスやクラリネットなどの木管楽器と一緒かと思います。

ただ、フルートには他の管楽器と決定的に違う1つの特徴があります。
それは「エアリード」という事。

金管楽器は唇を振動させて楽器を発音させます。クラリネットやサックスはリードと言って、息が出会う一番最初の地点に薄い葦または樹脂で出来た板が装着されていて、息を入れる事でリードが振動し、振動した空気は管を通り音になります。このように、これらの楽器は補助的な振動体を利用して、気流を急速に脈動させて楽器内に送り、発音する仕組みになっています。

対してフルートは純粋に気流と楽器内の空気との相互作用だけで音を生み出します。この仕組みを「エアリード」と言います。空気のリードという事ですね。ここで言うフルートは広い意味での「フルート」で、エアリードの構造を持つ笛は世界各地に多種多様な形のものがあります。

このエアリードを少し詳しく見ていきましょう。
エアリードの構造を持つ楽器は、中空(管もしくは器状)の構造と、歌口と呼ばれる開口部(穴が空いて、息が吹き込める所)によって構成されています。この歌口に外部から息が吹き込まれる事によって生まれる空気流が作用する発音します。この空気の振動によって発音するためエアリードと呼ばれます。

気流は歌口を塞いで直接吹き込むのではなく、歌口の縁、エッジに向けて息を吹きかけ、エッジにあたる風の帯の方向、速さ、量などがピッタリの所に来ると、エッジに当たる風が直線的ではなくなってエッジの内外に急速に揺れる事で響きが生まれます。

息の流れをこのエッジで増幅して発音をするという仕組みです。

エアリードというのは言葉で説明すると少し難しく感じるかもしれませんが、呼吸の流れから一緒に想像して行きましょう。何かペットボトルのようなものがあったら是非ご用意ください。

まず呼吸から。
ゆっくり深呼吸をして自分の呼吸を観察します。自分の身体の中から生み出す息の流れ・気流を確認しましょう。次に息を吸う時に口を閉じて鼻から吸い込み、吐く時にほんの少しだけ口を開いて、息を吐きます。薄い紙が一枚挟まるぐらいの広さを開けますが、喉の奥は「オー」の発音の形にして、できる限り息の柱は太く、最後の出口だけ小さな穴から息が出るようにします。

こうすると密度の高い気流を生み出す事が出来ます。何回か繰り返して、安定したらペットボトルの飲み口に息を吹き込んで発音させます。

いかがですか?
気流を発生させて、音が発音するまでの工程を体感する事が出来ましたか?

このエッジにパーフェクトなバランスで息を当てて気流のスピードを増幅させて空気を振動させる所に着目すると、息の流れを増幅させて発音する事、息の発生から発音までに空気の流れしかない、間に何も挟んでいない状態、自分の呼吸がそのまま外の世界の物体と出会って、音になって空間を共鳴させる事がフルートを吹く事の気持ちよさ、醍醐味です。

それ以外にも、フルートの面白さは元々は、遠くにメッセージを届ける事に使われていたことだと思います。閉じ込められた空間の空気を振動させて音を出す楽器で、古くは鳥を呼び寄せたり、狩りのために音具として使われたもの。各地の笛にまつわる民俗信仰をみると、かつて人々は、笛の音には邪悪な獣を威嚇し、目に見えない悪霊を追い払う不思議な力が宿ると考えていたこともわかります。

現代の私たちはマイクを通して音声をデジタルに変換して、さらにスピーカーを通してまた音声に戻して耳で振動を味わいます。

インターネットに作品を公開するようになってから、フルートが本来持っている「遠くにメッセージを伝える」「違う世界とつながる」性質は、インターネットの情報空間に広がる音に対して相性が良いと思いました。

西洋の笛(現在のベーム式フルート)は室内楽、閉じられた空間での反響の中で最大の効果を発揮するために作られました。日本の龍笛や能管、民俗神楽の笛は野外で演奏するために設計されています。インターネットの情報空間では音の響きが瞬時にありとあらゆる所へ連れて行ってくれます。身体から出た気流が閉じられた空間を通って、新しい音に変化して、それをリアルでも情報空間の中でも共有できる事、これからの音楽はますます面白くなりますね!

では、今回はこのフルートカフェはこの辺で終わりにします。
また次回もどうぞお楽しみに。

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