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私のお気に入りのカメラ、その3 タチハラFieldstand 45-II

4x5インチの大判カメラです。木製の、フィールドカメラと呼ばれるタイプです。職人さんによる手作りのカメラです。

タチハラ写真機製作所

このカメラを作った「タチハラ写真機製作所」は1933年に立原正雄氏が創業、二代目の立原道夫氏が東京都北区で経営していました。2013年に、職人さんがいなくなり立原氏自身も高齢になったことから、残念ながら廃業したそうです。それまで80年に渡り、木製大判カメラを作り続けてきました。国内はもとより海外でも高く評価され、数多く輸出もされています。

Webサイトのアーカイブがあります

購入のいきさつ

私が購入したのは2008年でした。当時、大判カメラなんて高価でとても手が出ないものだと思っていました。ところが何かのきっかけで、タチハラのカメラが10万円ちょっとで買えることを知りました。デジタル一眼レフが20万円ぐらいするのと比べたらかなりお買い得じゃない?しかも職人の手作りですよ?もう、決断するのに時間はかかりませんでした。
タチハラへ電話したら、立原氏自身が電話に出て下さいました(当時、既に立原氏お一人でやっていたのかもしれません)。最初は少し安いナイロン蛇腹を選ぼうとしたのですが、耐久性の点から本革蛇腹を勧められました。その時はナイロン蛇腹は在庫が無いので時間がかかるが本革は在庫がある、値段はナイロン蛇腹のままでいいと。そんなわけで本革蛇腹となりました。たしか、13万円ぐらいだったと思います。

私が注文したのはフィルスタンド45-IIのマホガニーローズ塗装、金具はゴールド色にしました。注文してから届くまで、2ヶ月ぐらいでした。梱包は普通の段ボール箱で届き、説明書の代わりに月刊写真工業に掲載されたタチハラついての記事の別刷りが入っていました。
届いたタチハラのカメラは、それはもう工芸品のような美しさでした。つやつやの塗装にゴールドの金具はマッチしていて、多少派手ではあるものの上品でした。

フィルスタンド45-II

使い方は木製フィールドカメラとして標準的なものです。リアスタンドにもラックギアが付いていて前方に移動するため、標準〜広角レンズでピントが合わせやすいのが特徴です。フロントはライズ・フォール、チルト、スイングに、リアはチルト、スイングに対応しています。それぞれのあおり量もフィールドカメラとして十分なものです。重量は約1.7kgです。
スプリングバックになっていますがグラフロックには対応していないので、ロールフィルムホルダー等の使用には注意が必要です。とはいえトヨのロールフィルムホルダーやロモグラフロックはスプリングバックに入れることができたので、これも十分だと思います。

ロモグラフロックを挟んだところ

素材の木には、北海道産の樹齢300年以上の朱利桜を使用し、約3年かけて自然乾燥させた物を使っているそうです。職人さんが一つひとつ部品を加工し、塗装、組み立てを経て完成します。
こうして作られたタチハラのカメラは経年で狂うことも無く、落としたりしない限り壊れることはありません。強いて言うなら革製の蛇腹は痛むかもしれませんが、15年ほど経過した私のタチハラの蛇腹は少しカビ跡があるものの、機能的には全く問題ありません。

立原氏のインタビュー記事がありました。

作例

Fujinon W 5.6/150, PROVIA 100F
Fujinon W 5.6/150, Neopan ACROS
Fujinon W 5.6/150, Neopan ACROS

大判だけあってさすがに使用頻度は少ないですが、これからも大切に永く使っていきたいと思います。

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