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怪盗ジバコ 北杜夫

怪盗ジバコの名前に関しては、百を越える異説がある。
本名はわからず、出生は秘密の帳に包まれている。
ジバコの正体は絶対にわからず、何国人にも化けられる。
彼は86回逮捕されたことがあるが、いずれも別人だった。
ジバコが途方もない金持ちになるにつれ、盗みがユーモアのあるものに化してきた。
なぜ怪盗ジバコの仕業であるかわかるかというと、彼は盗みの現場に1枚のカードを残してゆくからである。
そのカードには「無礼ながら盗みに入り申し候」と十何ヶ国語で記してあるからだ。
ジバコはなんでも盗む。そこらの泥棒とは訳が違う。
ジバコが物を盗む理由は、お金ではなくその好奇心からだからだ。
ジバコが逮捕されそうになった時、「私は捕まらない」と断言し、実際に牢獄自体を盗んでしまったことがある。
そんな奇想天外、怪盗ジバコの小説は読んでいて面白かった。

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