クレージーな夢を叶えることの意味~日本講演新聞

トキメキ学びを世界中に~ニュースを載せない日本講演新聞がお届けします。

 人は誰しも夢を見る。見るのは自由だし、勝手である。

 「新薬を開発して難病で苦しむ患者を救いたい」とか、「将来は発展途上国に行って井戸を掘りたい」など、誰かの役の立つ夢や人類の発展に寄与する夢もあれば、「エベレストに登頂したい」とか、「自転車で世界一周したい」など、個人的で、かつ命のリスクを伴うクレージーな夢もある。

 先月、熊本市託麻倫(たくま)理法人会主催のセミナーで、岩本光弘さん(53)の話を聞いた。
彼の夢も相当クレージーなものだった。
全盲の彼が「ヨットで太平洋を横断したい」というのだ。

 視力が衰え始めたのは13歳の時だった。
3年後には完全に光を失った。
「危ないからこれを使いなさい」と母親から白杖(はくじょう)を渡されたが、見えない現実を受け入れられない岩本少年は白杖を投げ捨て、母親が一番悲しむであろう言葉を吐いた。
「なんで俺を生んだんだ。俺は生まれてこんほうがよかった」

 16歳にして人生の絶望の淵に立った。
橋から飛び降りて死のうとした。
欄干に何度もよじ登るが手は動くのに足が動かない。疲れて近くの木陰にへたり込んだらいつの間にか寝てしまった。

 その時、数年前に他界した伯父が夢に出てきた。
自分をわが子のように可愛がってくれた伯父はこう言った。
「見えなくなったのには意味がある。おまえが前向きに生きれば多くの人に勇気と希望を与えられる」

 意味が分からなかったが、「死んではいけない」ということだけは分かった。

 盲学校では先生が「これで世界中の人と友だちになれるぞ」と言ってアマチュア無線を教えてくれた。
今ならインターネットやスマホだろうが、当時はそれしかなかった。

 無線機から英語が流れてきた。
でも聞き取れない。
その時、「英語を学ぼう」と思った。盲学校卒業後、彼はアメリカに留学した。

 そして、「見えないから無理」と思わないことにした。
やりたいことが見つかったら、とにかく挑戦する。
そんなことを繰り返した。

ここから先は

1,024字

¥ 300

ためになる、元気がでる、感動する、そんな良質な情報だけを発信しています。 1か月無料で試し読みできます→http://miya-chu.jp/