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コアジサシ(小鯵刺)

昨年から飛来してくれるコアジサシ。環境省によって絶滅危惧Ⅱ類(VU:絶滅の危険が増大している種)に指定されています。各地で繁殖地の減少が心配されていることが一因だと言われています。
シロチドリやコアジサシは、草木がない開けた地面で繁殖します。そうした繁殖地は、洪水などで新たに生じることもありますが、再び水没したり、草が茂ったりする不安定な環境です。
埋立地が一時的に繁殖地になっても、道路ができたり、やがてビルが建ったりします。
緑があったほうが、鳥や環境のためにはよいと考えがちですが、そうとも限りません。コアジサシのように裸地が必要な鳥もいることは知っておきたいですね。

夕方に海岸を飛んでいるコアジサシ
人間との距離が近い場所に営巣しています。
飛ぶ姿はとても綺麗です
砂地に着地しました。

昨年3年ぶりに飛来してくれるようになったコアジサシ。しかし海水浴のできる海岸に営巣しています。今年は海水浴が禁止になっていますが、泳がずとも海に遊びに来る人間も居ます。人との距離が近すぎるのも心配の種となっています。

コアジサシの巣は砂地に作り、なお、卵も雛も砂地と同じ様な模様になっています。野鳥の会が保護区を確保してくれていますが。営巣する場所を人間が指定するわけにもいきません。営巣場所や動く雛がそこから出てしまい、人が踏みつけてしまう事故も発生しかねません。
また、カラス、猫などの天敵もやって来ます。

昨年、毎日観察に行けるわけではありませんでしたが、営巣地には何度か訪れました。しかし、あんなに沢山営巣していたのに、大きくなったコアジサシは多くなかったということに驚きました。
もちろん、理由は色々あると思います。

その内、人為的な事もひとつ。
カメラマンが大挙して押し寄せ、営巣地を取り囲んでしまったため、営巣放棄した個体も多かったようです。そのため雛が餓死したり圧死していたとのことでした。

今年は4年に1回の海岸の整備の年とのことで、重機を入れ砂地を整備しており、その際何度も飛来していたコアジサシは防波堤に飛んで行ってしまっていました。今年は営巣は無理かもしれないと思っていましたが、整備も終了し営巣・抱卵・雛が生まれています。

コアジサシは、飛来・営巣・抱卵・子育てなどを観察させてくれ、私自身が人間と動物との共生や、自然環境について考えさせてくれた鳥でもありました。
是非今年は多くの雛が成鳥になってくれればと思います。

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