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最近見た映画-時計じかけのオレンジ

今回は人生3回目となる鑑賞を終えた、キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」についての感想です。久しぶりに"ビディり"ました。
(一部、言いずらい単語などをナッドサット語に置き換えています。)
※以下ネタバレもあるので注意です。

自分にとっての時計じかけのオレンジとは

そもそも私にとっての時計じかけのオレンジとは、ストーリーが素晴らしい!メッセージ性がある!といった類のものではなく、時折感じる画面の美しさと雰囲気を楽しむための映画です。

偉そうに「この映画はアートだ!芸術だ!」と言っているのではなく、時々思い出したときに開きたい画集みたいな存在だということです。

時計もオレンジも出てこない。

初鑑賞の時、有名作なのに特に前知識も無く、何故かどんでん返し系の映画だと思い込んでいました。映画を見る前、何となくどんな映画か予想してから見ることが多いのですが、「時計じかけのオレンジ」というタイトルだしメメントみたいにちょっと不思議な時系列系の話で、オレンジを巡って何かひと悶着起きるんだな…という謎の空想をしてからみ始めました。(空想内容が安直すぎる)

見始めてビックリ。物語中盤まで暴力と"イン・アウト"の繰り返し。諦めが悪いので、最後まで、時計とオレンジはいつ出てくるの?と思ってました。
後日調べてスラングから来てることをやっと知りました。なるほどね。

作品をより個性的にしているナッドサット語

ナッドサット語?どこかの民族の言語?…ではないです。ナッドサット語は作品内で主人公とその取り巻きが使っている独自の言い回しみたいなものです。始まってすぐは、画面下の字幕の意味が全く理解できません。一人で鑑賞しているのに、心の中で「ふーん…なるほどね(?)」と必死でわかったふりをしていました。

登場回数が多いものに関しては段々と意味を理解していくようになります。(逆に調べないと最後まで分からないものもあります。)わかってくると面白い。誰かとこの映画を語る際にナッドサット語を取り入れながら語ると楽しいです。
個人的に好きなのは、「イン・アウト」と「ホラーショー」と「トルチョック」です。

アレックスはサイコパスか

私は、サイコパスが主人公の映画であれば邦画も洋画も好きになる傾向にあります。色々見てきた中で、私の中に具体的なサイコパス像のようなものがあって…

・芸術を好む(美術・音楽)
・常識的な行動は出来る(むしろ傍から見ると変人の類ではない)
・頭がいい
・生き物の生死に興味が無い

これが揃っていれば私の中ではサイコパスです。
主人公のアレックスは音楽を嗜んでいたし、捕まった時もかなり常識的な行動をとっていたし、聖書を暗記したり頭も良さそうでしたが、ペットが死んだことを悲しんでいたのでグレー判定ですね。その描写も治療後の反応だったので実際にどうかわかりませんが…。

画面の配色とファッション

画面に出てくる配色や置いてあるモチーフがいちいちアート感満載です。場面ごとに登場するの配色がすごい。作家のおじさんの家やアレックスの部屋、猫のヨガおばさんの家も。とりあえず目に映った配色並べてみました。かなりポップです。

部屋に置いてあるものなんかも個性的ですよね。個人的には、アレックスの部屋にあったキリストたちがガッツポーズしている置物がすごく好きです。作家のおじさんの家で奥さんが寝ていたフリーザ様カラーの謎寝具も気になります。

ファッション、といえば1番に思いつくのはあのドルーグ一味の真っ白な服ですが、あのオムツみたいなやつは何なんですかね?いまだにわかりません。ミルクバーも服も真っ白で統一されているのは、宗教感が増してすごくいいんですけどね。アレックスの母親の服や髪型もいちいち気になります。日常生活でそのファッションはやばいだろ…と。

Singin’ In The Rain

ミュージカル映画好きの私としては映画の中でこのシーンが一番イライラし、屈辱的な気持ちになりました。レイプシーンで名作ミュージカル映画の曲を歌うなんて…。敢えてこういう真面目な映画の曲かつ有名な曲を入れてきたのは分かります。歌いながら犯すことで異常者感を演出しているのも、この曲を聴くとあの夜を思い出してしまう作家のおじさんと、後にルドヴィコ療法で第九が聴けなくなったアレックスとの対比なのも分かります。雨に唄えばが純粋に好きだった私には非常にショックでしたね…。

時計じかけの“りんご”

これは余談です。私は手塚治虫が好きでよく読むのですが、彼の作品の1つに「時計仕掛けのりんご」という作品があります。手塚治虫は海外の映画が好きだったことは知っていたため、最初はパクったのかな?と思ってました。(ディズニーが好きすぎて、バンビとかピノキオを勝手にコミカライズしたりしていたので…)
でもこれ、内容はいかにも手塚治虫って感じのSFものだし、この映画とは全く関係ないです。手塚治虫の漫画の方が多分映画より先なので、たまたまなのか、小説に影響されてタイトルを付けたのかもしれません。(漫画はkindleで購入出来ます。)

好きだけど説明は出来ない映画

この映画、正直に言うとこれから更新していく予定の「noteの最近見た映画シリーズ」の第二回記事の題材としては微妙なんじゃないかと思っていました。上の感想ではあまり触れていませんが、この映画の大半は暴力と“イン・アウト”ですし、ルドヴィコ療法の目を無理やりこじ開けるシーンがトラウマという人も多いみたいなので…。

でも私はこの映画、かなり好きなんですよね。どこが好きなのか具体的に説明出来ません。胸糞悪いとか嫌いとか言ってる人の感想にも納得しちゃうし、この映画が好き(あるいはキューブリック映画が好き)と言ってるやつはメンヘラとかサブカルとか通ぶってるとか言われるのも確かに…って感じなんですよ。
冒頭でも言いましたが、たまに開きたくなる画集のような映画です。別に明確に好きな理由なんてなくてもいいのかもと思っています。

とりあえず言えることは誰かと見るのはオススメしません。2回目の鑑賞の際は人と見ましたが気まずくなりました。以上です。


予告編はこちら


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