ミワベジ

自身の体調不良から毎日食べることの大切さを痛感し、大学の家政学部で食物学(栄養学)を専…

ミワベジ

自身の体調不良から毎日食べることの大切さを痛感し、大学の家政学部で食物学(栄養学)を専攻し、野菜ソムリエ上級プロの資格を取得しました。 小説家を目指して修行中です。 毎日の悪い食習慣や服用薬が、ヒトの性格形成や犯罪につながっていく、栄養ミステリーの分野を開拓したいと考えています。

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  • ミステリー小説『ランビエの絞輪』

    管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー!  芦屋医大に勤務する管理栄養士・宇田川舞は、早朝の静けさの中で殺人を目撃する。  白いネグリジェを着た女性が、まるで夢の中をさまようように犯行を行う姿に、舞はただならぬ違和感を覚える。  その背後には、神経を結ぶ《ランビエの絞輪》の働きが関係しているのではないか――と舞は、直感する。  しかし、事件は一筋縄ではいかない。  新薬治験、隠されたリスト、被疑者の背景。  大学病院の深部で何が進行しているのか?  舞が新薬の真相に近づくにつれ、次々と明らかになる不都合な事実。  栄養学を駆使した舞の推理が、誰も予想しなかった真相を暴き出す!

最近の記事

【第5回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

第5回『ランビエの絞輪』序章 薄絹が翻る 5 車が見えなくなるまで見送っていると、背後から声がした。  舞が振り向くと、解剖医の荒垣 壮太(あらがき そうた)が立っている。 「お早いご出勤で。本当は、九時出勤だろ?」  半ば呆れたような様子で、舞を見詰めている。荒垣は、いつもボサボサ髪にジーンズというラフな服装だ。でも、切れ長の整った顔立ちをしている。三十八歳になるが、女っけはなく、研究一筋という噂だ。荒垣は、舞が覆面パトカーから降りる光景を見ていただろうか? 研究に関

    • 【第4回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

      第4回『ランビエの絞輪』序章 薄絹が翻る 4 時刻は七時になろうとしていた。舞は着替えを済ませ、覆面パトカーの中にいた。  舞の通勤時間を利用して、さらに事情聴取が続く。喜多川も、舞と一緒に後部座席に座っていた。 「容疑者に精神異常の可能性がある、と思われるのですね?」 「注目すべき点は、殺害後すぐに、自分が何をしたのかもわからずに、寝入ったことです。精神科病棟では、患者さんトラブルが日常茶飯事で、理由も些細なことなのです」 「例えば、どんなことですか?」 「鼾がう

      • 【第3回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

        第3回『ランビエの絞輪』序章 薄絹が翻る 3 黒いセダンから降りて来たのは、大柄な背広姿の男性と長身のパンツ・スーツ姿の女性であった。二人とも『機動捜査』と書かれた腕章をつけていた。男性は四十代半ばぐらいだ。厳しい表情で舞の姿を見据えている。一方の女性捜査員は、舞の緊張を解くためだろう。優し気な眼差しで舞に近付いてきた。二人が舞に警察手帳を見せる。  男性は巡査長・緒方佐助《おがたさすけ》、女性は警部補・喜多川《きたがわ》俊子《としこ》と記されていた。舞は瞬時に二人の名前

        • 【第2回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

          第2回『ランビエの絞輪』序章 薄絹が翻る 2 舞は手袋を填めたままの状態で、男の手首に触れた。だが、脈は止まっていた。  立ち上がるとスマホを通話画面に切り替え、「110」をタップする。ワン・コールで女性の声が聴こえてきた。 「警察です。事件ですか? 事故ですか?」 「殺人事件を目撃しました」 「怪我をしている人は、いますか?」 「浮浪者の男性が、首の後ろをナイフで刺されています」 「犯人の特徴は、わかりますか?」 「白い寝間着姿の若い女性で、今は桜の木の下で

        【第5回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

        • 【第4回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

        • 【第3回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

        • 【第2回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

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        • ミステリー小説『ランビエの絞輪』
          6本

        記事

          【第1回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

          第1回『ランビエの絞輪』序章 薄絹が翻る 1 九月下旬の早朝五時、秋晴れを連想させる一日の始まりだった。  宇田川《うだがわ》舞は、桜の名所として知られる兵庫県西宮市の夙川《しゅくがわ》沿いをウォーキングするのが朝の日課である。  秋の訪れと共に日の出が遅くなってきたので、まだ散歩者の姿は見当たらなかった。  夙川は阪急電鉄 甲陽園《こうようえん》線の線路と平行して流れているが、苦楽園《くらくえん》駅を過ぎた辺りから、川は線路と離れ、川幅も狭くなってくる。  川沿いの遊歩道が

          【第1回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉

          ミステリー小説『ランビエの絞輪』の連載を始めます

           はじめまして。ミワベジと申します。  これから、『ランビエの絞輪』というミステリー小説の連載を始めます。  このミステリーは、《栄養ミステリー》という、私が勝手に作った新しいジャンルの物語です。 「飽食の時代」といわれている現代、人類は、食べ過ぎによる、様々な病気を抱えるようになりました。  そして、人間の思考回路を担う脳神経や脳細胞も日々の食事から得た栄養成分で作られています。  食生活を疎かにしていると、ますます、病人が増え、心を病む人も増えていくことでしょう。  実際

          ミステリー小説『ランビエの絞輪』の連載を始めます