【第3回】『ランビエの絞輪』〈管理栄養士・宇田川 舞が解く栄養ミステリー〉
第3回『ランビエの絞輪』序章 薄絹が翻る 3 黒いセダンから降りて来たのは、大柄な背広姿の男性と長身のパンツ・スーツ姿の女性であった。二人とも『機動捜査』と書かれた腕章をつけていた。男性は四十代半ばぐらいだ。厳しい表情で舞の姿を見据えている。一方の女性捜査員は、舞の緊張を解くためだろう。優し気な眼差しで舞に近付いてきた。二人が舞に警察手帳を見せる。
男性は巡査長・緒方佐助《おがたさすけ》、女性は警部補・喜多川《きたがわ》俊子《としこ》と記されていた。舞は瞬時に二人の名前