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徒然なるままに

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うたかたの詩作です。
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2017年10月の記事一覧

「 雨の日の叙景 」

ポツポツと降り始めた雨の匂い もう思い出すことはないと思っていたあの日の記憶が甦る 濡れたアスファルトには キミの哀しい笑顔が映った また会いたい 握ってくれた君の手を離す 僕たちは離れなければならない 離れなければならなかった 二人で過ごした時間を封じ込める 雨上がりの虹を閉じ込めた 色のない空へ

4pm 4am

午後4時のあなたが好き 少し疲れたあなたは 警戒心がなくて 無防備で そっと私に寄りかかる あなたは私の膝で眠るのよ 午前4時の私がキライ 聞き分けのない 子どもに還る時間 あなたは私をそっとなだめる 私はあなたの肩で眠るのよ

「あなたの顔 」

もうずっと長く一緒にいるのに あえない時が長いから 忘れちゃうよね わたしが顔を見たいっていったら 送ってくれた写真 我儘聞いてくれた 口角をキュッと上げて笑って見せる でもね あなたの瞳は いつも寂しそう…

「夢をみました」

夢じゃないけど… 夢をみました あれはまだ冬の寒い日 あなたと二人 雪の中を トボトボ 歩きました 長い道のり 辺りは真っ暗で 緑がかった街灯が雪道照らして 時々車が横を通り過ぎる わたしは右手 あなたは左手 かじかんだ手を繋いで ポケットの中で会話する 言葉は少なくて 二人ともとっても寒いから 少し鼻をすすって それでも どちらともなく 絡めた指で合図をしたら 二人は口づけをしました 車がまた横を 通り過ぎたけど あなたは続けて わたしの唇を吸

「タイムカプセル」

いつもどこか的外れで 臆病な僕の言葉は 全ての余白を埋め尽くす 結局、君との均衡な距離を保てずに 言葉の黒 感情の白 透明な肉体 君は僕の其れに、いくつかのダメ出しをした。 青は二人にとって良好なサイン 僕が思い切って 「なにか悩みがあるのなら言って欲しい」 といった言葉はあまりにも愚鈍で、 「私の悩みなんて、あんまり平凡過ぎて」 という君には、 もう、なにも云う必要がなくなってしまった。 やがて9月が終わろうとしている。 秋は残酷にもあの夏の日を抹消する。

「そんなもん」

どんなに ゼンニンそうにみえるやつのなかにも うすぎたないやつがいて どんなアクニンとよばれるひとのなかにも ちいさなてんしがいたりして あたしのなかにも あんたのなかにも いるんじゃない

「身も蓋もない女」

明け透けな日常を描いたわたしの詩を あなたは「身も蓋もない」といって嫌がるの あなたの前では15のわたし 言葉とカラダは 重ねてきたけど 心はいつも置いてきぼり どんなに汚なくても どんなに厭らしくても 「純」て言葉は大嫌いだった 「お前は何にでも名前をつけたがる」 って、また叱ってよ 零れゆく早咲きの梅の花

「なんて」

「愛してるって、いって」 なんて 我儘いってみたり、 「お前は俺の女だから」 なんて いわれて 胸を熱くしたり、 「ワタシハ アナタノモノ、ゼンブ」 なんて 馬鹿 いったり、 そんな ままごと みたいな恋も あったな そんな恋も あったな 2016-08

「空洞」

愛がなにかさえもわからない二人は なんども身体を重ねては 「愛してる」と囁いた キミがあまりにも無防備だったから ぼくは怖くなって逃げ出した このままキミと一緒に居たら ぼくらの行く先は 絶望以外 なにもないんじゃないかって キミはなにもいらないと云う 僕が抱きしめてあげたいと 差し伸べた手を振り払って 嫌われても構わない それは誰かに愛されてるから云えるのよ 寂しい気持ち それは誰かに愛されていたから感じるの わたしは誰にも愛されたことがない あるのは空っぽ

「電話口 」

たくさん たくさん 話したね あなたの声 電話口で伝えたように リラックスしていい感じ 好きな人の 好きな声 「スキ」を たくさん もらって ドキドキ ドキドキしながら 聞いていた でも 少しだけ ほんの少しね こわかった ココロが奪われてゆくのが こわかった

「上手くできない」

飲み会から帰った 一人の部屋 いつもより すこしだけ濃い化粧が 上手く落とせなくて 急に心細くなって 今ここにいないアンタを想った 上手く馴染めないのに 意味もなくヘラヘラと作り笑いをしていた あのときの情けないアタシ アンタに見られたくない でもやっぱり 淋しい気もち  アンタに知ってもらいたいし 泣ければいいのに 身も心も疲れすぎたこんな夜は 涙も出てこない 真夜中にふと目が覚めて 不安で堪らなくなった 自分で自分を抱きしめてみたけれど 上手くできなくて

「理想の男(ひと)」

あの人は 強くて カッコイイ 転んでも 何事もなかったように 涼しい顔して やり過ごす でも傷口が 少しめくれて 中身がチラッと 見えたとき 頼りなげで 純粋な心 泣きだしたくなるくらいに… 弱々しくて そのまま触れたら 壊れそう わたしは それを 見て みないフリをする

「 朧 」

わたしはいつも なにかを探している なにも持たなければ さがす必要もないのに いつかあなたにもらった気持ちは 無くしたことさえ 忘れていました 拠り所を無くした心は 足元を掬われ でも 別の誰かの言葉に 心救われ こぼれ落ちた 夢 ひらり 手の平に 拾い上げ また 彷徨うかな 2017-04

「眠れぬ夜」

暗闇の中 幻のキミに抱きつき 愛撫した 心なしか 熱くならない身体が 恨めしく 潤いを求め 刺激を 繰り返すも 欲すれば 欲するほど渇いて 声は 声にも鳴らず 想えば 想うほど虚しく 全ての穴を 塞いでほしいと願う もう二度と わたしが乾かぬように