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ソーシャルビジネス経営者合宿「こころざし!2019」に参加してきました! #新公連合宿2019

昨日と今日の2日間、新公益連盟の合宿に初めて参加してきました。

ソーシャルビジネス経営者合宿「こころざし!2019」は、名前の通り志に溢れた方々が集い、想いを共有し、志をさらに高める場でした。

今日は、そんな2日間を振り返りながら、合宿の一部をご紹介できたらと思います。

0. 新公益連盟の紹介とアイスブレイク

合宿を主催する新公益連盟(略称:新公連)についてまずご紹介を。

社会問題が複雑化、深刻化する現代。
社会的企業・NPO団体連盟組織として、既存の社会の否定・批判ではなく、行政や企業、住民等とともに、セクターや価値観の壁を越えた「コレクティブ・インパクト」による様々な社会課題の解決・新しい社会の創造を目指します。
社会的課題の先進国である日本の将来を切り開く存在として。

私も以前から新公連については知っていましたが、具体的なアクションとして、政策提言を何度もしてきたこと、その提案に基づいていくつも施策が動き始めていることは詳しく知りませんでした。

新公連に加盟している法人・個人は100以上。現在もその数は増え続けており、合宿も最初から熱気に包まれていました。

1. 全体セッション1 「Issue志向の資金運用」

最初のセッションは資金運用について。社会問題が複雑になっている中、休眠預金の活用をはじめ、お金の流れが大きく変わり始めています。ソーシャルな資金運用の可能性とは?日本民間公益活動連携機構(JANPIA)の鈴木均さん、VCの佐俣アンリさん、KIBOWの山中礼二さんが登壇者として、ジャパンギビングの佐藤大吾さんがモデレーターとして登壇され、1本目のセッションが始まりました。

「寄付はコスパ」「寄付はエンタメ」「寄付は参加券」とアンリさんのユニークな捉え方には私も目から鱗で、まだまだ寄付の可能性、新しいお金の流れの可能性を強く感じました。

また夜のセッション中、アンリさんから「寄付するときには、期待値を大事にする」という考えを伺い、ぜひとも詳しく共有したいと思ったので後日別の記事で紹介できたらと思います。

2. 全体セッション2 「これからの社会起業」

休眠預金の活用が始まる2019年。これから一層ソーシャルセクターが他セクターなどとの共同による社会的インパクトへ期待が集まる一方、ガバナンスや財政面がより問われるようになってきました。果たしてNPOや会社は今の形態のままでいいのか?どうしたらもっと上手くいくのか?衆議院議員の鈴木馨祐財務副大臣、ライフイズテックの水野雄介さん、フローレンスの駒崎弘樹さんが登壇者として、READYFORの米良はるかさんがモデレーターとして登壇されました。

私も以前調べていてびっくりしたのですが、(特例)認定NPO法人は株式会社へ出資することができません。どんなケースかというと、例えば、私たちe-Educationのように海外で一緒に事業を立ち上げた創業メンバーが現地に株式会社を作ったとして、彼らを応援するために出資をすることができないのが現状です。これが認定を取得していないNPO法人であれば出資はできるようですが、あまり事例はなく...NPOと会社、その垣根を超えた組織の形は、セクターの壁を越えるために今後もっと必要になると強く思います。

3. 分科会セッション1&2 「リーダーの孤独...からの希望」「ティール組織」

ここからは2つの分科会に別れ、関心のあるテーマを選んで参加する形式に。

私は以下のセッションに参加しました。

【分科会セッション①】
リーダーからの孤独、組織内の対立、社会からの逆風&炎上...から希望を見出す
《スピーカー》
・CRR Global JAPAN 森川有理さん
・グッド・エイジング・エールズ 松中権さん
・喜代七 山元圭太さん
《モデレーター》
・かものはしプロジェクト 本木恵介さん

このセッションはオフレコの話が多く、書けないことの方が多いのですが、だからこそ一言一言がとても重く、深く、その先に希望を感じることができました。

亀裂、解散、対立。どの組織でも起こることだということを再確認すると同時に、どうしたら回避できるか、戦うのではなくどうやったら共に変容していくのか、そのヒントを頂きました。

中でもモデレーターの本木さんがおっしゃっていた「癒し」という言葉は、人の弱さや社会の脆さに向き合うから私たちだからこそ、外側だけでなく内側にも向けるものであり、先日ジェレミー・ハンター先生の講義で学んだことと通じる部分が多かったです。

もう一つの分科会「ティール組織」は参加できなかったのですが、私も凄く関心のあるテーマであり、参加された皆さんのツイートを見ながらセッションの一部をご紹介します。

【分科会セッション②】
「ティール組織」新しい組織論・強い組織の在り方
《スピーカー》
・場とつながりラボhome'svi 嘉村賢州さん
・ガイアックス 上田祐司さん
《モデレーター》
・ETIC 宮城治男さん

上下関係も、売上目標も、予算もない『ティール組織』という新しい組織のあり方。私も以前本を読みましたが、NPOや国際協力の分野にも当てはまる...いや、むしろ現場オリエンッドで私たちの方が『ティール組織』は実践しやすく、効果(成果)も出やすく、何よりしなやかで強く温かいチームに近づけるのではないかと最近よく思います。セッション参加者のコメントを元に、もう一度本を読み返し、これからの組織のあり方について仲間たちと一緒に考えていけたらと思います。

4. ナイト・セッション兼コレクティブ・インパクト戦略会議

昼間の興奮も冷めやらぬまま、夜のセッションへ。夕食を取った後、8つの分科会に別れて、少人数で一つのテーマをグッと掘り下げていく議論していきました。

【テーマ一覧】
①少年院向けコレクティブインパクト支援「少年院を出院する若者支援の事業費をどのように調達すればいいか」
②リーダーの孤独、組織内の対立、社会からの逆風&炎上...から希望を見出す(システム・コーチング体験)
③ボード(理事会、取締役会)運営とガバナンスについて
④士業プロボノをアップデートする〜新たな連携方法を目指して〜
⑤可能性をひめた難民たちの活躍機会とそのきっかけ作りについて
⑥組織のNo.2視点で考えるソーシャルな経営の本質
⑦マインドフルネスとトランジション〜仕事、人生のフェーズが変わる波をどうサーフするか〜
⑧政策起業家の可能性と育成

私が参加したのは⑥可能性をひめた難民たちの活躍機会とそのきっかけ作りについて。昨年ロヒンギャ難民に深く関わった経験から、日本における難民の現状がとても気になっており、その最前線で奮闘されているWELgee代表・渡部清花さんがオーナーを務めるグループの議論に参加しました。

日本で難民申請が認定されるのはたったの0.1%。残りの99.9%はずっと「難民申請中」という不安定な立場で仕事を得ることも難しいという現場にも驚きましたが...もっと衝撃的だったのは、難民申請をはじめて最初の8ヶ月は就労許可が降りないこと。つまり働くことができません。

言い換えるなら、全く働けない8ヶ月を過ごした後、そこから就職活動をすることになるわけですが、いきなり即戦力になることも難しく、この問題に直面した渡辺さんは最初8ヶ月という期間を有効活用するためにNPOでインターンをするアイデアを練られていました。

「働くことには大きな価値があります。人と関わることによって、心が満たされ、可能性がどんどん広がっていくんです」

この言葉には深く共感し、彼らの祖国である海外で仕事をしている私たちも何か協力できることがないか、一緒にぜひ考えていこうと思います。

また、他のセッションには参加できなかったのですが、ツイートからも熱気が伝わってきたので、ぜひ共有します。

5. 分科会セッション3&4 「少し未来からの社会から考える」「メディア×NPOの可能性を探る」

2日目。翌日かなり遅い時間まで議論が盛り上がり、みなさん寝不足だったように見えたのですが、目が冷めるような朝の分科会が始まりました。

私が参加したのか以下のセッションです。

【分科会セッション③】
すこし未来の社会から考える、組織、コミュニティ、個人
《スピーカー》
・コード・フォー・ジャパン 太田直樹さん
・ミラツク 西村勇也さん
《モデレーター》
・SVP東京 藤村隆さん

▼太田さんのプレゼンスライド(一部)

太田さんの話は、文字通り少し未来の話について。工業化社会になったSociety3.0、情報化社会になったSociety4.0を経て、ソフトウェアが世界の中核となるであろうSociety5.0の未来と、それに対して私たち人間はどんな存在になるのか、どうなりたいのか紹介いただきました。

最後の「降りくだる幸福」の話もとても印象深く、これからどんなに上を目指してもソフトウェアに勝てない時代がやってきた時、人間は上以外の道を探すのだろうな、という未来はストンと腑に落ちました。

▼西村さんのプレゼンスライド(一部)

西村さんは何度か登壇されているのも見てきたのですが、(いつもモデレーターをしている印象があってか)ご自身の仕事や現在の関心を伺うのはとても新鮮で、目から鱗のお話ばかりでした。

例えば、コンピューターのキーボードはもともとピアノの鍵盤を元にしていて、「新しい文脈が、異なる価値へジャンプを生み出す」という話は、なるほど、確かに人間の歴史であると同時に未来を作る鍵になるなと思いました。

また、そういった文脈の箱から抜け出すために、「何もしない」時間や空間を作る必要があるという話も凄く共感でき、西村さんが毎年実践されているという1ヶ月ハワイ生活は近い将来ぜひとも挑戦してみたいです。

続いてもう一つのセッションのご紹介も。こちらもツイートの引用になりますが、とても鋭い指摘の飛び交う熱いセッションだったことが伝わってきました。

【分科会セッション④】
"社会課題解決の機能"としてのメディア×NPOの可能性を探る/メディアとしての世論形成の仕方
《スピーカー》
・HUFFPOST 竹下隆一郎さん
・BUSINESS INSIDER JAPAN 浜田敬子さん
・Co.to.hana 西川亮さん
《モデレーター》
・8bitnews/GARDEN 堀潤さん

私たちe-Educationも、2012年の頃に社会を変えるためにはメディアも変える必要があると考え、「途上国のイメージを豊かにする」というコンセプトを持ったWEBマガジン『トジョウエンジン』を、当時大学生だった佐藤慶一くん(現在は講談社「現代ビジネス」編集者)と一緒に立ち上げました。

【親友対談】前編:始まりはラブレターメール。途上国のイメージを豊かにするメディア「トジョウエンジン」立ち上げ秘話|三輪開人×佐藤慶一
【親友対談】後編: NPOの情報発信課題に迫る。人と思いをつなぐ双方向のコミュニケーションとは|三輪開人×佐藤慶一

上の対談記事でも触れたように、NPOには発信したい情報があるものの、メディア関係者、その先にいる一般読者との温度感の乖離があり、これをどう埋めるか私自身ここ数年考えてきたのですが、セッションの実況ツイートを見て、そのヒントを掴んだ気がしました。

メディアは単に情報を広げるための一方向的なツールではなく、マス層との温度感や距離感を知り、お互いが歩み寄ることができる双方向的ツールであり、私たちNPO自身もマス層にどうやって近づくのか、これから自身に問い続けたいと思います。

最後に

あっとう間の2日間が終わりました。

身体の疲れはありながらも、頭は高速で回転し、心は高揚感に満ちています。

今なら新しい事業のアイデアも思い浮かびそうですが、ティール組織や組織の分裂のセッションでも振られていた通り、まずは学んだことをしっかり組織に還元したく、この記事を書くことにしました。

また、ハフポストの竹下さんも仰っていたように、こうやって2日間オフィスを離れて合宿に参加できること自体が「特権階級」のようなものであり、こういう時間を作ってくれた仲間に心から感謝し、学んだことをこれからの仕事にしっかり役立てていこうと思います。

最後になりますが、新公益連盟の皆さん、合宿運営スタッフの皆さん、素敵な時間と空間を本当にありがとうございました。またお会いできる日を楽しみに、今回学んだことをしっかり実践して参ります。

これからもよろしくお願いいたします!

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