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飛鳥の明日香

私の名前は斉藤明日香。
そう、聞くだけならあの人と同じ名前。
だから銀行や病院で名前を呼ばれると、一斉に視線が飛んでくる。
そして落胆の雰囲気が漂う。
こんなところにあの人がいるわけないだろと思うのだけど、毎度のことなので軽く受け流す。

あの人と年齢が近いから、両親があの人を意識してつけた名前でないことは分かる。
だけど、父親の転勤で仕方ないとはいえ、明日香と名付けながらなぜ明日香村に引っ越した?
引っ越しは小学校高学年だったけれど、娘が学校でイジメられるとは思わなかったのだろうか?

絶対にイジられるかイジメられるだろうと覚悟して学校へ行くと、意外にも明日香の明日香より斉藤明日香に注目が集まり、いつだったか別のクラスの子にサインちょうだいとまで言われた。
私は確かに斉藤明日香だけどあの人とは違う斉藤明日香なのだからさすがにサインには困ってしまった。

あの人が有名である限り、私は常に注目を浴びることを覚悟しなければならない。
ただ一つの解決策はあの人が結婚されるか、私が結婚するか。
苗字さえ変わってしまえば明日香なんて名は特別珍しくないだろうから肩の重荷を下ろすことができるのだろうけれど、お相手の気配が微塵も感じられないから、当分先のことになるんじゃないかな。
まずはあの人が結婚されるのを確認して、同じ苗字の人を好きにならないようにしないとね。
それまでは自分の名前なのだから付き合っていくしかないか。

実は悪いことばっかりではなくて、いいことも結構あったりする。
一番有難いと思うのは名前をすぐに憶えてもらえることだ。
先日も果物屋さんの前を通った時、普通なら「明日香ちゃん柿食うかい?」でいいと思うのだけど、「斉藤明日香ちゃん柿食うかい?」とフルネームで呼ばれる。
だけど柿はしっかりいただけたからいいことと言えるよね。
後は意味は分からないけど、私の顔を見るとみんなが微笑んでくれるっていうのもいいことになるんじゃないのかな。


明日香村って意外と有名らしいんだ。
観光に来られる方もそれなりに多いし、文化的な遺跡もそれなりにある。
有名なのは石舞台古墳とか、高松塚古墳とか、キトラ古墳とか、飛鳥寺とか。
有名な人では推古天皇スイコテンノウとか額田王ヌカタノオオキミとか聖徳太子ショウトクタイシとか。
皆さん歴史に教科書に載ってるような人ばっかり。
良くも悪くも古いモノばっかりだけど、歴史が好きな人にはスッゴク魅力のある場所なんだって。

明日香村には独特の御朱印もあるんだ。
御朱印って普通は神社やお寺でもらうものでしょ?
明日香村には○○古墳とか○○跡の御朱印があるんだよ。
それも今のところ8種類も。
歴史好きには堪らんってことなのかもね。

でも私のようなピチピチの若者には少々 (う~ん、ずいぶんかも) 退屈なところなんだけどね。


元々明日香村は、高市村たかいちむら飛鳥村あすかむら阪合村さかあいむらが合併して誕生したそうなんだけど、その時に「飛鳥村」にすると平等じゃないと反対意見が出て「明日香村」になったんだって。
文字を変えただけってことは「あすか」にすることは賛成だったんだね。
いっそのこと「あすか村」にしてくれれば私も助かったんだけどね。

無理矢理合併したわけでもないんだろうけど、明日香村になった経緯を知ると少し驚いてしまうんだ。
何故かって?
明日香村の公式ホームページを見るとトップページのど真ん中に「飛鳥」の文字。
何か統一感がないなあって思ってしまうのは私だけかなあ。


どうでもいいことかもしれないけれど、公式ホームページは飛鳥の文字をど真ん中に置いてバックの写真が四季折々の明日香村を映してるんだけど、朝焼けか夕焼けか分かんないけど全体がオレンジ色の写真の「鳥」の字の少し下にちっちゃい黒い点があるのがメッチャ気になる。(2023.8.12.現在)
他の風景写真の時にはないからどんな意図があるのか、それとも単なるミスなのか、小さなことがとっても気になるお年頃です。

今日はここまで。
またお会いしましょう。

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