読書感想文『紅蜘蛛』・1枚目
本業の夏休みは(これを執筆している時点で)最終日。小学生の読書感想文の宿題よろしく、読書して(ノベルゲームを遊んで)みました。取り上げるのは、studio waspによる香港ノワール系同人ノベルゲーム『紅蜘蛛 / Red Spider』。
studio waspのメンバーの一人・Kellyさんは、東京ゲームタクト2019の合唱メンバー。そのつながりが、このゲームを知ったきっかけです。香港ノワール系と聞いて、最後まで平常心で読めるか不安になりましたが、制作者にやるよといった手前、やらないわけにはいきません。とりあえず1ルートやってみましょうか。
発端からルート選択まで
静かに、穏やかに始まったかと思った刹那、銃声とともに物語が動き出す。なんでエエ声でエエ性格の人(しかも旦那)はそう簡単に撃たれるの。神は無慈悲だ。
最初の選択肢は1択。越児のこの決断がトリガーになる。
この越児の声、かっこいい。元宝塚の水夏希さんを思い出した。端正な男役の声。
刑事との小競り合いを経て幹部sが顔見世。手段を問わない守銭奴・大B。独立路線の武闘派・ゴウ。策略家タイプの老板(ラオバン)。頭脳派インテリの添明(テンミン)。越児はこの4人を呼び出してとりあえず掌握していくのですが、これがまた、曲者な采配。
次の選択肢で、屋敷に戻って護衛と顔を合わせるか、「話したいことがある」というゴウに電話するかの2択になる。今回は初回でキャラも把握したかったというのもあり、屋敷に戻るを選択。ここで護衛の陸兄弟と、探偵の來が登場する。(厳密にいうと、來は幹部掌握前に電話で越児と話していたのだが、実体としては屋敷が初登場)
兄弟はいいとして、鬼と來はもう嫌な予感しかしない(先行シーンで気まずそうな雰囲気を出していた)
そりゃそうよ、探偵だしね。
キャーふたりきりー。
次の選択は兄弟のどちらに護衛についてもらうか。セーブデータが増えていく。今回は武闘派のお兄ちゃんで。直後、來さんと兄弟の関係についての話がはじまる。緊迫したシーンが冒頭から続いていたので、ほっとひといきといったところか。越児の過去についても、徐々に触れられていく。
これで幹部sが引っかかるのかが疑問だったが、成功率5割。ちょろい。
で、今回はお兄ちゃんに寝室警護に入ってもらう訳だが、確かにこれはうらやましいポジションである。ほかの方は次回プレイまで楽しみにお待ちくださいませ。
ルート確定(陸ルート) ※ネタバレ配慮済
お兄ちゃんとの寝室シーン。なかなかエエ兄ちゃんやのう。若かりし頃の鬼さん、シンプルカジュアルがいい。(ネタバレ配慮の為スクショは載せません)
ゴウに電話するところは必須イベントのようで、屋敷に戻るにしてもちゃんと電話はしている。
小太り刑事・フェイは、性格の悪い刑事コロンボのような印象。昇進できないタイプ。
と、ここまで書いたところで幹部sの黒い一面が明らかに。その勢いで物語は選択肢ゼロのノンストップで佳境まで駆け抜ける。ちまちま書いている暇もなく、私は物語の行方を固唾をのんで見守る。
今回私が選んだのは、陸(お兄ちゃん)ルートのようだ。
雇う側・雇われる側の関係から、ふたりは戦いを通じてバディ、いや、それ以上の関係になっていく。
「ふたりとも死ぬな、そして仇を討て」
ふたりの関係の行方、事件の結末がベストなものになってほしいと願いつつ、私はエンターキーを押し続けた。
劇終。
作者側からネタバレ配慮のお願いが出ているので、言えることは一言。
落ち着くべきところに落ち着いたし、ホッとした。
作品全体としては、大人のハードボイルド・アクション・ラブストーリー。舞台が香港ということで、エキゾチックさと多国籍感が随所に見られた。
あと、越児がとにかくカッコいい。自立した、でもほんのちょっとだけ脆さがある、現代の女性。
先日までプレイしていた『ホテル ワルプルギス』でも、カガリというこれまた自立した女性(こっちは少女?)が主人公。作品は違えど、彼女たちふたりに共通するのは、攻めの姿勢と決断力、機転が利くこと、そして、しなやかさ。周りの人間が惚れていくのもよくわかる。
初回読書(プレイ)では、ルートのお相手との関係の行方より、事件の真相の方に注目していたので、2回目からはルートの変化による周りの関係性の違いを味わってみたい。
拙い語彙と表現ですが、少しでもコンテンツの良さが伝われば幸い。スキはモチベに、サポートは推し活とネタ収集、合唱などの活動に充てます。よろしくお願いいたします。